中学生でも役に立つ!論理的思考力を育てる「ロジカルシンキング」



ビジネスシーンではおなじみの「ロジカルシンキング」(論理的な思考)。就職活動で耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。これから大きく変化する日本社会で必要になると言われている「ロジカルシンキング」について解説します。

「ロジカルシンキング」とは?

うちの子の同級生のお兄さんが就職活動の一環として「ロジカルシンキングのセミナーを受けた」と話してくれたんだけど、よくわからなかったんですよね。マスター、「ロジカルシンキング」って、どういうものなんですか?

英語のつづりは「logical thinking」で、日本語では「論理的思考」と訳されることが多いですね。もともと日本ではコンサル系のビジネス書に使われたことで広まった言葉です。英語圏ではあまり使われない和製英語でもあります。

なるほど、「論理的思考」と聞くとイメージしやすいですね。「論理的に考える力」と考えてもよいでしょうか?

意味としては、情報を分析して整理し論理的に考えることで、問題を解決する最適な方法を導く思考法を、「ロジカルシンキング」と呼ぶことが多いと思います。

「情報を整理する」「論理的に考える」「問題を解決する最適な方法を導く」の3つがポイントと言えそうね。

そのとおりです。さらに「論理的に伝える」こともポイントです。論理的に話すことで相手にわかりやすく伝えたり、説得力のある提案をしたりすることができるようになるため、交渉やプレゼンテーションに活用できるテクニックとして人気を集めています。「ロジカルシンキング」はビジネスパーソンにとって必須な能力と言われるほどで、企業の新人研修や採用面接でも「ロジカルシンキング」の能力が問われることが多くなっています。

それで就職活動中の学生さんもセミナーを受講したんですね。

「ロジカルシンキング」という思考法は、ビジネスシーンや就職活動の場面を中心にさかんに活用されています。また、急速なグローバル化や人工知能(AI)の発達などが進み、社会の在り方が大きく変化すると言われているなかで、こうした「論理的に考える力」や「論理的に伝える能力」は、これから社会に出ていくお子さんたちにもぜひ身につけてほしい能力だとも言われています。

中学生にも「ロジカルシンキング」ですか?すこし早い気もします。

優子さんが心配されるのもわかります。これまで、学校ではこうした論理的な考え方を教えてこなかったという声も多く聞かれますが、平成29年6月に文部科学省が発表した『学習指導要領の解説』(※)のなかでは「知識・技能」と「思考力、判断力、表現力」のバランスを重視することが方針の1つとして打ち出されているんですよ。

「思考力、判断力、表現力」というと、考える力や伝える力につながるものがありそうですね。

はい。今後は学校の授業でも、知識を詰め込むだけでなく、考える力や表現する力をトレーニングする機会が広まっていくと思われます。

難しそうと敬遠しないで、この機会に「ロジカルシンキング」について親子で知っておくのもいいかもしれないわね。

日常のなかでできる「ロジカルシンキング」のトレーニング

次期の学習指導要領ともつながりますが、2020年の大学入試改革を機に、大学入試でも論理的な思考力や表現力を問う問題が出題されることになると言われていて、小学生や中学生から考える力のトレーニングをはじめたほうがいいという動きも出てきているんですよ。

大学入試が変わるという話は私も聞いたことがあります。

学習塾や進学塾の中にも「ロジカルシンキング」の考え方を取り入れることも増えてきたみたいよ。 

「ロジカルシンキング」の能力を身につけるには、どんなトレーニングをするんでしょうか?

「ロジカルシンキング」では、現状を正しく理解するために一定の枠組みを使って整理しながら考えることが基本です。

なんだか難しそうですね。身近な問題で考えられる例はありませんか?

では、「数学の成績が落ちたときにどうするか」を、「ロジカルシンキング」の思考のプロセスの1つの例に沿って、
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1.現状を把握する
2.因果関係を明らかにする
3.解決策を考える
4.具体的な行動に落とし込む
---------------------------
という順で考えてみましょう。

【例:数学の成績が落ちた】
1.現状を把握する
・定期テストの点数が前回よりも10点下がってしまった
・因数分解の問題で失点している

2.因果関係を明らかにする
・因数分解に苦手な部分があったのは復習不足だったからだ

3.解決策を考える
・しっかり復習して苦手をなくす
・教科書や問題集にある問題をくり返し解く
・わからなければ学校の先生や塾の講師に聞く

4.具体的な行動に落とし込む
・月曜から金曜日まで毎日10問、因数分解の問題を解く
・土曜日に再度テストで間違えた問題を解いてみる

なるほど。成績が落ちたときに、ただ「勉強が足りないからだ」と決めつけて無理に勉強時間を増やすよりも、「ロジカルシンキング」のように順序立てて考えたほうが、問題を効率よく解決できそうですね。

「自分ではよく考えているつもりなのに、堂々巡りで答えがでない」というときにも役立ちそうです。それに、論理的に考えて出した結論や意見なら、人に伝えるときにもわかりやすく話すことができるようになりそうですね!

そうですね。日常のちょっとした課題でも、こんなふうに段階ごとに整理して考える習慣をつけることで、「ロジカルシンキング」のトレーニングになりますよ。

論理的に伝えるためにできること

論理的に伝えるという例を考えると、小学校・中学校で夏休みの宿題によく出される「読書感想文」がわかりやすいかもしれません。課題図書が与えられ「感想を原稿用紙〇枚にまとめなさい」という形式で出されますが、意見の考え方やまとめ方、わかりやすい書き方などについては、これまでの日本の教育ではほとんど教えられてこなかったというのは、よく指摘される点です。

読書感想文、私も苦手でした。論理的な考え方や書き方を知らないから書けなかったんですね。

欧米では読書に関しては「BOOK REPORT」という課題がよく出されます。ある作品に対して「タイトル、著者名、中心人物、設定、あらすじ、中心となる出来事、結末、1つの事実を取り上げてそれについての意見を書く」といった項目を埋める形式のレポートです。

うちの子の小学校でも似たようなプリントが配られました。項目はもっと多く「心に残った場面」「心に残った人物」「作者が言いたかったこと」などもあったと思います。

作品の要素を分解したものや、自分が感じたことを書きだして整理するのね。

情報をまず紙などに書き出して整理するというのも、「ロジカルシンキング」の初歩的な手法の1つです。

いきなり原稿用紙に向かうより、頭のなかが整理されて書きやすくなりそうです。

「BOOK REPORT」などで整理した内容を読書感想文にまとめるわけですが、論理的な書き方のポイントとしては、「主語・述語のつながりを明確にする」「自分の意見に対して根拠を示す」「主観でなく客観的な根拠を示す」といった点が挙げられます。これらはビジネスシーンの「ロジカルシンキング」でも説得力のある伝え方のポイントとしてよく言われる要素です。

「ロジカルシンキング」と聞くと難しい感じがしますけど、中学生でも論理的な考え方や書き方を意識することは、それほど難しくないかもしれませんね。

日本の教育における「ロジカルシンキング」の活用はまだ取り組みが始まったばかりという印象ですが、興味がある保護者の方は関連の書籍など調べてみてはいかがでしょうか。


(※)典拠
小学校学習指導要領解説:文部科学省 2017年
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm

中学校学習指導要領解説:文部科学省 2017年
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm

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