普通科高校の多くあるいは他の課程を持つ高校も含めて、大学進学を見据えて文系と理系のコース分けがあります。イメージだけで文系・理系を決めてしまうことがないよう、まずはなにが学べるのか、よく調べることから始めてみましょう。
目次
高校での文理選択は、どう決める?
保護者
うちの子が気になっている高校は、高校2年生で文系コースと理系コースに分かれるみたいなんです。
教室長
普通科の高校の多くで、入学後に大学進学を見据えて文系コースと理系コースを選ぶ機会が設定されていますね。このコース選びのことを、一般的に「文理選択」と呼んでいます。
保護者
高校2年生からコースが分かれることが多いはずよ。だから、高校1年の冬には自分が理系に進むか文系に進むかを決めることになるわ。
教室長
そうですね。高校1年生の夏休み前後に希望の調査が行われ、三者面談などを経て、冬までには最終的な希望を聞かれることになるでしょう。
保護者
高校1年の夏休みと聞くと、意外に早い感じがします。文系と理系の違いについて、この機会に知っておきたいですね。
保護者
高校での文系・理系というのは、どういう違いがあるんですか?
教室長
高校で文系コースを選ぶと、英語、国語、地理歴史、公民などの科目を重点的に履修することになります。一方で数学や理科の科目は基礎的な内容に止まる場合が多いと思います。
保護者
では、理系の場合は?
教室長
理系コースを選ぶと、理数系の生物、化学、物理などの科目の高度な内容を学びながら、国語や英語も履修することになります。
保護者
そういえば、自分が高校生だったときは、数学が苦手だったので文系を選びました。
保護者
数学の成績がよいから理系にしたという生徒さんもいましたね。教科の得手・不得手で選ぶ生徒さんが多かったような気がします。
教室長
高校生の文理選択では、大学の文系学部へ進む場合は文系コースを、理系学部に進む場合は理系コースを選ぶのが基本です。
保護者
大学進学のことを視野に入れて選ぶんですね。
教室長
はい。履修科目に違いが出るので、科目の得意・不得意で選ぶ生徒さんも多いですが、高校の文理選択は大学進学にもかかわる重要な選択となります。進学はもちろん、将来就きたい職業など、長い目で見て決められるようにしましょう。
注意したい文系と理系が融合する場合
保護者
大学の学部は、文系学部と理系学部と大まかに2つに分けて話すことが多いけど、自分の出身学部以外はよくわからないという人も多いんじゃないでしょうか?
保護者
文系学部の入試では文系の科目、理系学部の入試では理系の科目を中心に受験するんですよね?
教室長
そのとおりです。ただし経済学部のように文系でありながら数学や統計など理系の知識を学ぶ場合もありますし、逆に医学部などでは英語で論文を書くこともあります。
保護者
文系学部なら文系の科目だけ、理系学部なら理系の勉強だけすればいいというわけでもないのね。
保護者
高校での文理選択のタイミングでも、どんな大学に行きたいかということをよく考えたほうがよさそうですね。
保護者
そうよね。将来的には就職にもかかわってくるし、うちの子にも慎重に考えてほしいわ。
教室長
大学や学部を選ぶとき、まず考えたいのは「将来どんな仕事に就きたいか」ということですね。まだ具体的な仕事までは思いつかないという人は、「大学でどんな分野を学びたいか」、「自分の興味のあることはなにか」ということから考えてみるといいと思います。
保護者
高校の文理選択でも「数学が苦手だから自分は文系だ」と思い込まないほうがよいのかもしれませんね。
自分がこれから学びたいことを大切に、文系・理系を選択しよう
教室長
文系学部と理系学部を選ぶことも大切なのですが、もう1つは究極的になぜ大学に入るのかという目的の部分から考えるのも大切です。
保護者
そうね。日本の大学生は勉強しないって言うわよね。
教室長
そうですね。大学に入る目的が大学卒業資格を得るため、あるいは有名大学卒業というブランドを手に入れるためといった考え方で大学を選ぶお子さんも多いと思います。そういう学生さんは勉強よりも、サークル活動やアルバイトを大事にするのではないでしょうか。もちろん学費を支払う側としては、残念に思う部分もあるかもしれませんが、実はそういう経験がその後の職業人生にも生きてくることが多く、人生の中で得難い経験ができる場合も多いのです。
保護者
ところで教室長はどんな学生生活を送っていたのですか。
教室長
え、私ですか!私はどちらかといえば、講義が終わったあとも、大学の図書館で予習したり、大学院生の先輩と一緒に研究室にいたりしたことが多かったですね。私も含めて勉強が大好きで、さらに専門的に深めていきたい場合には、文系ではたとえば文学部や外国語学部がおすすめです。理系だと、理学部がもっとも近いでしょう。理学部では高校でも習う、数学、物理、化学、生物、地学といった分野で高度な教育や研究を行っています。
保護者
なるほど、文系や理系ではなく、本人の気持ちや学生生活の過ごし方をポイントに選ぶという考え方ね。
教室長
そのとおりです。文系だと商学部、経済学部など、理系だと工学部や農学部などが、より将来の職業や専門家としての実務に近い内容が学べます。芸術学部は文学部などとも近いのですが、将来の職業につながる教育を行っているという意味では、このカテゴリーに当てはまります。
保護者
私の友人のお子さんが、この前薬学部に行きたいと言っていたわ。 これも将来の職業に直結する学問と言えるわね。
教室長
なるほど。もちろんそうなのですが、大学で学ぶことが同時に資格取得につながるパターンですね。理系では医学部などの医療系、栄養学部の多くもそうですし、教育学部も基本的には資格を取得することが1つのゴールとなります。このように大学教育とともに、資格取得するための学校として大学を利用するという考え方もあります。
保護者
なんだか、私もまた勉強したくなってきちゃったな。
保護者
学校って離れると、また勉強が恋しくなることってあるわよね。
教室長
そうですね。勉強は年齢にかかわらず、どれだけしてもよいものですね。日本でももっと大学が身近なものだったよいのにと思うことはありますね。
参照:「 令和5年度学校基本調査について」文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/sonota/2023.htm