私立大学の併願は5校を目安に

保護者

毎年受験シーズンになると、大学受験の情報も気になってきます。

すこしずつだけど、調べ始めているんですが、私立大学は国立大学にくらべると情報が多くて整理するのが大変ですね。

教室長

そうですね。一般的に、私大文系では「英語、国語が必須で、地歴公民か数学から1科目選択」、私大理系では「英語、数学が必須で、そのほかに理科から1科目選択」というパターンが多いです。センター試験(現大学入学共通テスト)で9科目の対策が必要な国公立大学に比べれば、私立大学の入試は科目をしぼって対策できます。私立大学は一般入試(現一般選抜)でも3科目受験が主流なので国立大学でよくある9科目に比べると楽に感じますが、さまざまな入試形式があるので情報収集が大切になってきます。

保護者

詳しく教えていただけますか?

教室長

わかりました。私立大学の一般入試(現一般選抜)は1月下旬から2月中旬にかけて行われるもので、例年2月の上旬がピークになります。

保護者

募集要項は高校3年の夏ごろから出始めるんですよね?

教室長

そうです。志望大学の募集要項を取り寄せて、秋から始まる出願受付に備えましょう。私立大学の出願受付は冬に集中しています。出願書類を集めたり、必要事項を記入したりするのも一苦労なので、落ち着いて取り組めるようにきちんと時間も確保してください。

保護者

志望校は3校くらいで考えているのですが、少ないでしょうか?

教室長

志望校5校以上を目安にしておくといいでしょう。併願校が多くなると、日程の調整や受験費用に多く負担がかかってしまいますが、それでも5校以上と5校未満では進学率に大きな差が出てきます。実力相応校を3校、合格確度の高い学校を1~2校くらい受けるのがよく、合格確度の高い学校を早めに1校受験して弾みをつけられると理想的です。

保護者

なぜ合格確度の高い学校を早めに受けるのですか?

教室長

受験した学校から合格をもらえると、自分のがんばりが認められたということでもあり、やはりうれしいものです。感動する人も多いでしょう。早い段階で合格をもらうだけで、受験に臨む重苦しい気持ちが緩和される効果もあるのです。このメリットはぜひ考えてみてください。

保護者

なるほど、私大受験では5校以上を目安に考えてみたいと思います。

バラエティに富んだ入試方式ゆえに情報収集を

保護者

さきほど、入試方式が複数あって、情報収集が大切だとおっしゃっていましたが、具体的にはどういうことですか。

教室長

まず前提的な知識ですが、私立大学の一般入試(現一般選抜)は試験日が重ならない限り、何校でも併願が可能です。全大学で統一の日程が設けられているわけではないため、何校でも受験できます。さらに、同じ学部・学科でも入試方式が複数あり、併願できる場合がほとんどです。

保護者

なるほど。

教室長

規模の大きい総合大学であれば、単年度にたとえば30回以上受験するということも可能な場合だってあるのです。さすがに受験生の体力的にも、保護者の経済的な負担も大きいので、あくまで極論ですが。

保護者

確かにそうですね。受験料だけで1年分の学費になってしまいますね。

教室長

通常の一般入試(現一般選抜)のほか、センター試験(現大学入学共通テスト)の結果を利用して合否を決める「センター試験(現共通テスト)利用入試」、全学部・学科が同一の問題を使って同じ日に試験を行う「全学部日程入試」などもあります。これらのものとは性格が異なりますが、遠方の受験生のために、大学所在地以外の主要都市に試験会場を設けて行われる「地方試験・サテライト試験」というものもあります。交通費や宿泊費といった費用が抑えられるほか、日程が異なる本学試験との併願をする生徒さんもいるそうです。

保護者

同じ大学でも上手に日程を組めれば、受験する機会が増えるんですね。

自分の得意な範囲や単元が頻出されていたり、自分の得意科目に傾向した配点の入試方式かどうかをしっかり見抜いて受けると、より有利に受験を進めることができますね。入試傾向をよく調べてみることが合格への近道かもしれませんね。

教室長

そのとおりです。たとえば数学だと、数Ⅲが範囲に含まれているかどうか、国語だと古文・漢文の出題の有無のほか、文学史の出題範囲なども確認しておきたいところです。志望校のラインナップによっては、対策する必要のない単元を避けて、頻出分野に力を注ぐこともできるわけです。

保護者

入試の形式や試験日だけでなく、入試科目や出題範囲をしっかり見極めることが大切なのですね。

教室長

あとポイントとしては、傾斜得点にも注目したいですね。入試科目の得点配分を見て、自分の得意科目の割合が高ければそれだけ有利です。同じ大学学部であっても、受験機会によって、有利な回と不利な回があるので、この点は慎重に見極めておきたいところです。

受験のプロがアドバイスする私立大学の出願方法!

保護者

よく塾や予備校の進路面談に行くと、大学入試の情報量がすごいと聞いたことがあります。いったいどんなことをしてくれるのですか。

教室長

受験のプロの力を借りるメリットとしては、豊富な情報量を駆使して、併願作戦を最適化してくれることに尽きると思います。

保護者

受験情報誌などを買って調べれば、さきほどの出題範囲や傾斜得点なども知ることができるようにも思いましたが。

教室長

いや、それだけではありません。受験のプロであれば、それらの情報に加えて大学の出願日別の難度なども高い精度で見極めてくれます。たとえば、2月10日に「A大学法学部」「B大学法学部」「C大学法学部」の入試があり、2月12日に「A大学法学部」の入試があったとします。「A大学法学部」に入りやすいのは、2月10日と12日のどちらですか?

保護者

法学部志願者が複数の学校に分散するので、当然「A大学法学部」は2月10日のほうが入りやすいと思います。

教室長

そうですね。このように受験生の試験日ごとの動向なども詳しくみてくれますし、直近の模試の動向から「今年のB大学は志願者が多いが、C大学は志願者が少ないので狙い目だ」といったことも見極めて、数値的な根拠に基づいたアドバイスをしてくれます。

保護者

さすがは受験のプロね。うちの主人も受験には詳しいほうだけど、きっとそこまでは無理だわ。

教室長

やはり膨大な入試情報の中から、必要な情報を見つけ出すのはなかなか難しいことでしょう。実際にここまでのことをしてくれるのは、とても熱心な高校の進路指導の先生、予備校・進学塾の一部、そして私がよく知っている大手グループの個別指導塾など、限られています。また、2020年にはセンター試験が廃止され、大学入学共通テストとなりました。

入試形式や方式は、これからも変わっていくことが予想されます。昔に比べると、受験方式は複雑で選択肢も多く、大学により受験方式も異なるので、何か気になることがあれば、リアルタイムの情報をたくさん持っている受験のプロの力を頼ってみてください。