2007年から開始された全国学力テストは、少しずつですが、位置づけや教科数が変わってきています。近年の全国学力テストの動向はどのようなものなのでしょうか。今回は全国学力テストについて詳しくご紹介します。
目次
全国学力テストって?
保護者
お子さんが中学生だった時は、全国学力テストってありましたか?
保護者
あったと思うわ。確か全国レベルで実施している、小学6年生と中学3年生を対象にした試験よね。
教室長
「試験」と言うよりも、「調査」と言ったほうが適切かもしれませんね。正しくは「全国学力・学習状況調査」という名称で、「義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童・生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」(※)とされていますよ。
保護者
つまり…?
保護者
中間テストや期末テストといった定期テストは、学校で習った一定の範囲の理解度を測るものよね。これに対して全国学力テストは、行政の観点から全国のお子さんの学力や学習状況を調査するものだということよね。
教室長
そのとおりですね。ちなみに実施日は毎年4月の第3または第4火曜日と決まっています。実施教科は中学校の場合、基本的に数学・国語の2教科で、基本的な知識に関する問題であるA問題と、活用力を見るためのB問題に分かれている点が特徴ですね。そのほか、生活習慣や学校環境に関する質問紙調査もあるんですよ。
全国学力テストの位置づけは?
保護者
全国学力テストは日本の教育においてどういう位置づけにあるんですか?
教室長
まず全国学力テストには前身の「全国中学校一斉学力調査」があったことから説明したほうがよいかもしれませんね。1956年から行われていたものでしたが、学校や地域間の競争が過熱したため、1966年には中止されました。
保護者
確かに教育に関して競争が過熱しすぎるのはよくないことよね。
教室長
ところが近年になってから子どもの学力低下が叫ばれるようになったため、政府は2007年、全国の学力状況を正確に分析・把握するために現在の全国学力テストを開始することになったというのが、全国学力テストの歴史です。
保護者
そんな経緯があったのね。
教室長
民主党政権時代は予算縮小の観点から約3割の抽出方式になりましたが、現在はきめ細かな調査のために基本的にすべての小中学校が参加することになっています。
保護者
全国学力テストの結果からは何がわかるんですか?
保護者
結果の使われ方も気になるわね。
教室長
全国学力テストには、地域や学校全体の学力状況を把握できたり、生徒の学力と学習・生活環境の関連を分析できたりする意義があります。全国学力テストで集まったデータは、たとえば成績が上位の自治体や学校の教育方法をほかの自治体や学校が参考にするなどして使われますよ。また集計結果は、保護者や児童(小学生)が中学校を選択する判断基準の1つにもなります。
保護者
学校教育をよりよく改善するために利用されるのね。
保護者
それに各中学校のだいたいの学力レベルがわかれば、保護者も安心してお子さんを進学させられますね。
教室長
生徒にとっても、学習内容の振り返りができるという意義がありますよ。
保護者
勉強するモチベーションの1つになるということですね。
保護者
ちなみに全国学力テストは成績や内申にはかかわるんでしょうか。
教室長
全国学力テストは調査ですので、成績にはかかわりません。また2016年度から、全国学力テストを高校入試に利用することは禁止されていますから安心してください。
東京個別・関西個別へお任せ
英語や理科を導入!全国学力テストの今度の展望は?
保護者
今後、全国学力テストはどのようになっていくんでしょうか。
教室長
実施教科は変わってくる可能性がありますね。たとえば2012年度からは3年に1回の頻度で理科のテストも実施されることになりました。また最近のニュースによると、2019年度から中学3年生を対象に3年に1回程度、英語も調査対象教科に加わる予定になっていますよ。
保護者
英語力はこれからの社会に必要なスキルだものね。
保護者
英語のテストはどのような形式になるかはわかっているんでしょうか。
教室長
リスニング、リーディング、ライティングの問題は、数学や国語と同じ日程で行われる予定です。リスニングとリーディングの問題はマークシート式、ライティングの問題は記述式になるとされています。また教員と生徒が1対1で10分間程度会話をするスピーキングのテストも予定されていますよ。
保護者
本格的ですね!
保護者
保護者としても、今後の全国学力テストの動向に目が離せませんね。
※参考URL:全国学力・学習状況調査の概要:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1344101.htm