式の展開ってどんなことをするの?

教室長

中学校の計算って、なんだかすごく複雑に見えますよね。

保護者

そうよね。文字も多いし、かっこが多くなったりするとすごく難しいような気がするわよね。

保護者

そうそう。文字とかっこがすごく難しそうに見えるんですよね。

教室長

文字が入るとかっこの中を先に計算することができなくなりますからね。式を展開する必要が出てくるんです。

保護者

そういえば、中学校に入ると計算することを「式の展開」って呼びますよね。

教室長

厳密に言うと、計算と式の展開は違うんですよ。「計算」は演算をして結果を求めることで、「式の展開」はかっこを外すことなんです。「計算をしなさい」、「式の展開しなさい」と言われても、どのみち式を展開してもっとも簡単な答えになるまで整理するので、あまり意識はしないのですがね。

保護者

式の展開って、中学1年生の初めのほうで出てきてから、高校の数学までずっと使いますよね。

教室長

そうですね。中学1年生のときに基本的な分配法則を学習して、中学2年生でもう少し複雑な形を、そして中学3年生ではよく使う展開公式を学習します。単純な計算問題だけでなく、関数や図形の問題にも式の展開の必要な場面が多くありますね。高校でも欠かせない基礎と言えるでしょう。

 

中学1年
-2(X-3)
=(-2)×X+(-2)×(-3)
=-2X+6

 

中学2年
(9ab-3a-12)÷3
=9ab÷3 -3a÷3 -12÷3
=3ab-a-4

 

中学3年
(X+2)(X-3)
=X2+(2-3)X+2×(-3)
=X2-X-6

 

基本は分配法則です。きちんと理解して繰り返し演習すれば、必ずできるようになりますよ。

基本の分配法則をマスターしよう

保護者

「分配法則」ってなんでしたっけ。

教室長

かっこ全体にかけてある数を、かっこの内側の項すべてにかけるんですよ。書いたほうが早いかな。

 

2(X+3) =2×X+2×3
※↑「×」が省略されている!

 

保護者

2とかっこの間にX(エックス)が省略されているから、かっこの中それぞれにかけ算をすればよいってことですよね。

教室長

そうですね。大切なのは、かっこ全体にかけてあるものは、「かっこの中すべて」にかけなければならないということです。x(エックス)にだけかけて3はそのまま、なんてことがないようにしましょう。かける数がかっこの後ろにあっても同じです。では、これはどうでしょうか。

 

(4X+2)÷2

 

教室長

わり算でも同じですよね。だから(1)は後ろから分配法則を使って、2x+1ですよね。

 

(4X+2)÷2

=4X÷2+2÷2

=2X+1

 

教室長

正解です。では、これはどうでしょうか。

 

a-2(b+3)
=a-2×b+2×3
=a-2b+6

 

保護者

これってどこか間違っているんでしょう?

教室長

そうです。どこが違うかわかりますか?

保護者

あ、2をかけるんじゃなくて、(-2)をかけるんじゃないですか?

教室長

そのとおり。符号もいっしょにかけなければならないんです。

 

a-2(b+3)

=a+(-2)×b+(-2)×3

=a-2b-6

 

教室長

かっこが2つ並んだ場合にも、分配法則を使って式を展開します。

 

(a-2)(b+3)

=a×b+a×3+(-2)×b+(-2)×3

=ab+3a-2b-6

 

保護者

1つずつかけていけばよいんですね。

保護者

符号つきでね!

教室長

そうです。かっこの中の数が増えても同じですよ。やってみますか?

保護者

1つずつかけていけばよいんでしょう?…はい、できました!

 

(a-2)(a+b+3)
=a×a+a×b+a×3+(-2)×a+(-2)×b+(-2)×3
=a2+ab+3a-2a-2b-6
=a2+ab+(3-2)a-2b-6

 

教室長

式の展開はできていますね。ただ、これだとまるはあげられません。

保護者

あ、同じ記号ってまとめるんじゃなかったですか?

教室長

そうです。「同類項」と言いますが、同じ文字がついている項はまとめるのが暗黙のルールですから、これが正解ですね。

 

(a-2)(a+b+3)

=a×a+a×b+a×3+(-2)×a+(-2)×b+(-2)×3

=a2+ab+a-2b-6

 

保護者

うう、なんだか悔しいですね。

教室長

お子さんもみなさんそうなんですよ。できないと悔しいんです。でも、できるととてもうれしい。だから勉強するんですよ。

 

 

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展開公式をマスターしよう

教室長

分配法則が使いこなせるようになったら、あとは公式3つですね。

保護者

公式っていわれると身構えちゃうんですよね。

教室長

基本は分配法則なので、知らなくても式の展開ができないわけではないのですが、その後の因数分解や2次方程式に必要なんですよ。応用できるので、この3つは覚えてほしい公式です。そんなに身構えずに「呪文を短縮できる魔法」くらいに捉えて、気軽な気持ちでいきましょう。

保護者

短縮できる魔法ですか…。

教室長

そうです。それでは、次の式を分配法則で展開してみましょう。

 

(X+2)(X+3)
=X×X+X×3+2×X+2×3
=X2+3X+2X+6
=X2+(3+2)X+6
=X2+5X+6

 

これを、公式で展開すると、

 

(X+2)(X+3)

=X2+(2+3)X+2×3

=X2+5X+6

 

保護者

わ、ずいぶん簡単になりますね。

教室長

そうでしょう?かっこの中の前の項が同じなら、この公式が使えます。前を2乗して、後ろを足して前を1つかけて、最後は後ろ2つをかける。

 

(X+a)(X+b)

=X2+(a+b)X+ab

 

保護者

なるほど、わかりやすいですね。

教室長

では、これを使って次の式を展開してみます。

 

(X+5)2
=(X+5)(X+5)
=X2+(5+5)X+5×5
=X2+10X+25

 

教室長

何か気づきますか?

保護者

2乗だと、後ろの項2つが同じになるんですね。

教室長

そうなんです。だから、こんな公式ができるんですよ。

 

(X+a)2
=X2+2aX+a2

 

保護者

そっか、中央の係数は2倍に、後ろの項は2乗になるんですね。

教室長

最後は、こんなタイプです。

 

(X+3)(X-3)
=X2+(3-3)X+3×(-3)
=X2-9

 

保護者

中央の係数が0になって消えてしまいましたね。

教室長

これは、かっこの中の前の項が同じで、後ろの項が符号違いの場合です。必ず中央の項が消えてしまうので、こんな公式ができます。

 

(X+a)(X-a)
=X2-a2

 

保護者

スッキリしますね!

教室長

この公式3つは中学3年生で学習しますが、その後の因数分解や2次方程式でも重要な公式です。和と差の積は2乗の差と覚えてもよいでしょう。短くなって計算ミスも減りますから、ぜひ暗記してほしいですね。

 

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