〈to不定詞〉とは

 

〈to不定詞〉は、to go・to play・to readなどのように、〈to+動詞の原形〉で表されます。to goes、to played、to readingなどのかたちはありません。

 

「不定」の意味

ところで、〈to不定詞〉の「不定」(定まっていない)とは、どういうことでしょうか。「不定詞」と対になるものが「定動詞」です(「定動詞」という用語を覚える必要はありません)。定動詞は、英文中で述語になる動詞(V)で、言わば「正真正銘の動詞であり、動詞(V)の役割を担っています」というものです。このように本来的な動詞である定動詞には動詞ならでは機能や役割を担うことになります。時制を担わなければならなかったり、主語と足並み(人称や単数/複数)をそろえなければならなかったり、それによってかたちが定められてしまいます。だから定動詞なのです。
それに対し、不定詞は、「動詞のような性格も残していますが、動詞とは別の機能を持っています。動詞ならではの機能や役割もないため、比較的柔軟に使うことが可能です。その意味であまり定めがありません」といった理解でいてください。
不定詞について、このようなイメージで覚えていると、単なる規則やかたちの暗記よりも本質を理解できることと思います。

 

〈to不定詞〉の働き

〈to不定詞〉が英文中でするいろいろな“仕事”とは、主に〈名詞〉〈形容詞〉〈副詞〉の役割をするということです。
〈to不定詞〉は、〈動詞〉ではないため、〈名詞〉のようなことや〈形容詞〉のようなことや〈副詞〉のようなことを役割にしています。英文法では、これを〈to不定詞〉の〈名詞的用法〉〈形容詞的用法〉〈副詞的用法〉と呼んでいます。その概要を以下に整理しておきます。

【中学英語】to不定詞をわかりやすく解説!2

この3つのどの用法であれ、〈to不定詞〉のかたちは、〈to+動詞の原形〉が導くひとまとまりです。
ただし、それが実際の英文において、主語・補語・目的語のいずれかになっているのか、直前の名詞を修飾しているのか、動詞・形容詞・節などを修飾しているのかによって用法が定まり、読み方も変わってきます。
その〈to不定詞〉の導くまとまりが英文中でどのような働きをしているのかを見定めることが大切です。

 

〈to不定詞〉の〈名詞的用法〉

〈to不定詞〉の「名詞っぽい働き」を〈名詞的用法〉と言います。〈名詞〉は、主語(S)・補語(C)・目的語(O)になるのが主な仕事です。〈名詞的用法〉の〈to不定詞〉が導くまとまりはSやCやOになり、「…すること」と訳せます

例文で確認してみましょう。
① To learn foreign languages is interesting. 〈主語〉(外国語を学ぶことはおもしろい。)
② My dream is to work for UNESCO.     〈補語〉(私の夢はユネスコで働くことです。)
③ He decided to study abroad.         〈目的語〉(彼は留学することを決意しました。)
※ 太字部は〈to不定詞〉、下線部は〈to不定詞〉が導くまとまり

①では、〈to不定詞〉の導くまとまり(To learn foreign languages(外国語を学ぶこと))が主語(S)に、②では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to work for UNESCO(ユネスコで働くこと))が補語(C)に、③では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to study abroad(留学すること))が目的語(O)になっています。

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《問題》次の1)~3)について、和文に合うように[  ]内の語句を並べ替え、英文を完成させなさい。
1)教室を掃除することは大切です。    [the classroom / clean / to / important / is]
2)彼女の希望は外国に行くことです。 [hope / abroad / is / go / her / to]
3)私は野球をすることが好きです。    [I / baseball / to / like / play]

《正解》
1)To clean the classroom is important.
2)Her hope is to go abroad.
3)I like to play baseball.

《解説》
1)「教室を掃除すること」を〈to不定詞〉で表し、Sとして用います。
2)「外国に行くこと」を〈to不定詞〉で表し、Cとして用います。
3)「野球をすること」を〈to不定詞〉で表し、Oとして用います。

〈to不定詞〉の〈形容詞的用法〉

〈to不定詞〉の「形容詞っぽい働き」を〈形容詞的用法〉と言います。〈形容詞〉は、名詞を修飾するのが主な仕事です(Cになることも主な仕事ですが、ここでは説明を省略します)。〈形容詞的用法〉の〈to不定詞〉が導くまとまりはその直前の名詞(A)を修飾し、「…する(ような)A」「…するためのA」「…するべきA」「…するというA」などと訳せます。〈形容詞〉は一語の場合、通例a tall boyやlong pensのように名詞の前に置かれますが、〈形容詞的用法〉の〈to不定詞〉が導くまとまりは名詞の後に置かれることに注意してください。

例文で確認しましょう。
④ She needs someone to help her.(彼女は自分を手伝ってくれる人を必要としています。)
⑤ Please give me something to drink. (何か飲み物をください。)
⑥ It is time to get up now.(さあ起きる時間です。)
※ 太字部は〈to不定詞〉、下線部は〈to不定詞〉が導くまとまり、点線部は〈to不定詞〉の導くまとまりが修飾する名詞

④では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to help her(彼女を手伝う))が直前の名詞(someone(誰か))を修飾しています。
「手伝う誰か」→「手伝ってくれる人」と考えます。この場合、someoneは、意味のうえではto help herの主語に当たると解釈できます。
⑤では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to drink(飲む))が直前の名詞(something(何か))を修飾しています。
「飲むための何か」→「飲み物」と考えます。この場合、somethingは、意味のうえではto drinkの目的語に当たると解釈できます。
⑥では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to get up(起きる))が直前の名詞(time(時間))を修飾しています。
「起きるべき時間」→「起きる時間」と考えます。time to不定詞で「…する時間」と覚えておくとよいでしょう。

■個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~3)について、和文に合うように[  ]内の語句を並べ替え、英文を完成させなさい。
1)彼には助けてくれるたくさんの友人がいます。[many friends / he / to / help / has / him]
2)今日はやるべきたくさんの仕事があります。[a lot of / I / do today / have / work / to]
3)昨晩は寝る時間がありませんでした。[I / to / no time / sleep last / had / night]

《正解》
1)He has many friends to help him.
2)I have a lot of work to do today.
3)I had no time to sleep last night.

《解説》
1)「彼を助ける」を〈to不定詞〉to help himで表し、それが「たくさんの友人」many friendsを修飾するように表します。
2)「やるべき」を〈to不定詞〉to doで表し、それが「たくさんの仕事」a lot of workを修飾するように表します。
3)「寝る(ための)」を〈to不定詞〉to sleepで表し、それが「時間」timeを修飾するように表します。no time to不定詞で「…する時間がない」と覚えてしまうとよいでしょう。

〈to不定詞〉の〈副詞的用法〉

〈to不定詞〉の「副詞っぽい働き」を〈副詞的用法〉と言います。〈副詞〉は、動詞・形容詞・副詞・節(つまり名詞以外)を修飾するのが主な仕事です。〈副詞的用法〉の〈to不定詞〉が導くまとまりは、動詞や形容詞・副詞、さらに節全体を修飾し、「…ために」「…して」「その結果…する」などと訳せます〈副詞的用法〉の〈to不定詞〉をどう訳すかは、その文の内容や文脈によって判断することになります。

例文で確認しましょう。
⑦ He studies English hard to study abroad.(彼は留学するために英語を熱心に勉強しています。)
⑧ His mother was happy to hear the news.(彼の母親はその知らせを聞いて喜んでいました。)
⑨ My son grew up to be a soccer player.(息子は成長してサッカー選手になりました。)
※ 太字部は〈to不定詞〉、下線部は〈to不定詞〉が導くまとまり

⑦では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to study abroad(留学する))が述部(studies English hard(英語を熱心に勉強する))を修飾しています。この場合、to study abroadは、述部の「目的」として「留学するために」と解釈するのが自然です。
⑧では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to hear the news(その知らせを聞く))が述部(was happy(うれしかった))を修飾しています。この場合、to hear the newsは、述部の「原因」として「その知らせを聞いて」と解釈するのが自然です。
⑨では、〈to不定詞〉の導くまとまり(to be a soccer player(サッカー選手になる))が述部(grew up(成長した))を修飾しています。この場合、to be a soccer playerは、述部の「結果」として「その結果、サッカー選手になる」と解釈するのが自然です。

■個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~3)について、和文に合うように[  ]内の語句を並べ替え、英文を完成させなさい。
1)私はその電車に乗るために早く起きました。[the train / I / to / up early / take / got]
2)昨日は彼に会えてうれしく思いました。[him yesterday / I / see / was / glad / to]
3)表に出ると、外は雨が降っていました。[I / it was raining / got out / only to / outside / find]

《正解》
1)I got up early to take the train.
2)I was glad to see him yesterday.
3)I got out only to find it was raining outside.

《解説》
1)「電車に乗る」は「早く起きた」の〈目的〉です。「電車に乗る」を〈to不定詞〉で表し、それが「早く起きた」という述部を修飾するように表します。
2)「昨日彼に会う」は「うれしく思った」の〈原因〉です。「昨日彼に会う」を〈to不定詞〉で表し、それが「うれしく思った」という述部を修飾するように表します。
3)これは難問だったかもしれません。「外は雨が降っている(ことに気づく)」は「表に出た」あとに起こった〈結果〉です。「雨が降っていることに気づく」を〈to不定詞〉で表し、それが「表に出た」という述部を修飾するように表します。このように、〈to不定詞〉が残念な〈結果〉を表すときに、〈to不定詞〉の前にonlyが置かれることがよくあります。「表に出ましたが、ただ外は雨が降っていることに気づいただけでした」→「表に出ると、外は雨が降っていました」と考えるとよいでしょう。

このように、〈to不定詞〉を用いると英語の表現の幅が広がり、これを理解すると読み書きできる英文の内容がグッと豊かになります。お子さんが〈to不定詞〉をマスターして英語学習の飛躍のきっかけとなるよう、アドバイスしてあげてください。
最初は何役もこなす〈to不定詞〉の解釈の仕方に少し戸惑うかもしれません。お子さんは、訳し方のパターンを覚えて、コミュニケーションの中で〈to不定詞〉を自在に使いこなせるところまで行けそうですか。ぜひ繰り返し練習し、いつでも使える知識になるまで理解を深めておくよう、はげましてあげましょう。
お子さんが実際に英語学習を進めてゆく上で〈to不定詞〉につまずいて苦手意識を持ってしまった場合、個別指導塾の対策指導が役に立つかもしれません。決して1人で悩まず、個別指導塾の無料学習相談会などの機会を利用し、ぜひ経験豊富なプロの学習アドバイザーに相談してみるよう、勧めてあげてください。

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