身近な素材を使った理科実験なら楽しく取り組める

保護者

今年も夏休みの宿題に、自由研究が出ました。うちの子の場合は、毎年なにを研究するかで困って、結局8月末まで残ってしまうんですよね。お子さんは、どんな自由研究をしているんですか? 

保護者

うちも同じよ。アドバイスするにしても、私が言ったものをそのままやるのではなく、うちの子が自主的に楽しんでできる方法はないかしら。

保護者

「研究」というと、なんとなく立派なことをしなくてはいけない気がするわよね。

教室長

そんなことはありませんよ。身近なテーマでいいんです。ふだんの生活で「ちょっと気になること」をテーマにしてみてはどうですか?

保護者

身近なこと、と言われても、すぐに調べてわかるような内容では物足りないのではないでしょうか?

教室長

簡単なテーマなら、それを掘り下げたり、広げたりするといいですよ。

保護者

たとえば、どんなことですか?

教室長

「紅茶にレモンを入れると、紅茶の色が変わるのはなぜか」を調べることに決めたとします。その場合、「レモン汁の量によって色の変わり方は違うのか?」、「ほかの飲み物や食べ物でも変わるのか?」、「レモン以外の果汁ではどうか?」など、細かく気になる疑問を実験前や実験中にたくさん書き出して調べてみましょう。ひとつのテーマからでも、研究内容を広げることができますよ。

保護者

実験自体は簡単にできて、楽しく調べられるというのがいいですね。

保護者

それなら、興味のあることからテーマを選ぶとよさそうね。興味があることなら、きっと疑問や気になることが出てくるわ。発見したときの喜びも大きいはずよ。

教室長

毎年新しいテーマで研究しなくてもかまいません。前の年にやった研究の続きをやったり、別の角度から調べたりして、テーマを掘り下げていくのも大切なことです。

保護者

ふだんから気になっていることや調べてみたいことを、うちの子と話し合ってみます。

教室長

研究テーマによっては、調べるのに日にちがかかるものもあります。夏休みの最初のうちにテーマを決めておくといいでしょう。どうしても思い浮かばないときは、自由研究のテーマを紹介している本やサイトを参考にしてみるといいと思います。

中学 学年別 おすすめの実験テーマ

保護者

教室長が保護者や学校の先生だったら、研究テーマに困っているお子さんにどんなものをすすめますか?

教室長

そうですね。では、学年別に理科の自由研究でおすすめのテーマを挙げてみましょうか。
まず、中学1年生は、夏休みまでに植物について学んでいます。「葉、茎、根のつくりとはたらき」という単元を生かした実験をするなら、「植物の維管束を調べる」ことができます。

保護者

それはどういった実験なんですか?

教室長

さまざまな植物の茎を輪切りにして、維管束の様子を確認する実験です。まず、切り口を赤い色水にひたして、しばらく置きます。そのあと、切り口よりすこし上を切ってみまると、赤く染まった維管束が確認できます。

保護者

おもしろそうですね!

教室長

ほかには、「種子の付き方調べ」もできますよ。さまざまな野菜や果物の種が大きさ、色、かたち、数、どの部分にあったかなどを調べるのです。種が似ているものをグループ分けしたり、種の大きさと実の大きさが比例するのか調べてみたりしてもいいですね。

保護者

いつも何気なく食べている野菜や果物が、どんなつくりになっているかを知ることができるわね。日々の食卓への関心が広がりそう。

保護者

中学2年生だと、どんなものがよいですか?

教室長

夏休みまでに化学変化や原子分子について学んでいるので、「化学変化とその利用」という単元を生かした実験などがいいかもしれません。たとえば、発泡入浴剤を手づくりするのはどうでしょう。重曹やクエン酸、レモンなどのしぼり汁などを用意して入浴剤をつくる実験です。お風呂に入れてみて、発泡の様子や香りをレポートします。また、なぜお湯に入れると発泡するのかを調べるのもいいと思います。

保護者

フルーツや花の香りのする入浴剤なんて、女の子は喜びそうじゃない?

教室長

そうですね。ほかにも、「松ぼっくりで炭をつくる」実験もおすすめですよ。空き缶に松ぼっくりを入れて、アルミはくでフタをします。その缶に竹ぐしで数か所穴をあけて、コンロの上で火にかける実験です。けむりが出てきて、松ぼっくりがいぶされ、炭になる様子を見ることができます。

保護者

松ぼっくり以外にも、どんぐりや木の葉など、いろんなものを炭にしてみるのもおもしろいかもしれませんね! 

教室長

実験の手順を写真やイラストで説明すると、わかりやすいレポートになります。炭になる前後で重さの違いを調べてみたり、できた炭で工作したりしても楽しいですよ。ただし、これは火を使う自由研究ですので、保護者の方と一緒にやるようにしましょう。

保護者

実験と聞くと難しそうですけど、化学反応が出て目に見えるから楽しく行えそうですね。

教室長

化学反応は、実は日常のいろんなところで起きています。さきほど例に挙げた「紅茶とレモンの実験」も、化学反応のひとつです。化学反応を身近に感じられると、授業で習う化学反応式が苦手というお子さんも、すこしは興味がわいてくるかもしれません。

保護者

中学3年生になると、研究テーマも複雑になったり、高度になったりするのかしら?

教室長

いいえ、そんなことはありません。1、2年生で習った内容を、復習を兼ねてやるのも力がつきます。これから習う内容を予習するという手もありますよ。

保護者

3年生後半の理科の学習内容でいえば、どういったものがありますか?

教室長

「いろいろなエネルギー」についての学習などがあります。この学習を先取りして、「太陽エネルギーについて調べる」実験をするのはいかがでしょうか。まず、太陽光をよく反射するように内側にアルミホイルをはった傘を用意して、傘の先端部分を地面に突き刺します。次に、マジックペンなどで黒く色をぬった空き缶に水を入れ、まるごとペットボトルのなかに入れて傘の柄の部分に、紐や輪ゴムなどで固定します。その状態で晴れた日に外に置いておくと、どうなると思いますか?

保護者

アルミホイルのおかげで太陽光が空き缶に集まるので、中身の水はすぐにお湯になるのではないですか。

教室長

正解です!黒くぬらない缶でやった場合や、曇りの日にやった場合などで、水の温度の違いを調べてみましょう。発展させて、太陽光発電の日本での普及率や、どんな場面に使われているかなどを調べると、日本や世界のエネルギー問題を考えるきっかけにもなりそうです。

保護者

3年生では自然環境のことも学ぶわよね?

教室長

はい。「自然環境の調査と環境保全」の単元を予習するなら、「電気使用量と二酸化炭素の関係」を調べる研究がおすすめです。さまざまな電化製品の消費電力を調べて、1時間あたりどれくらいの二酸化炭素を排出するかを調べるのです。「自分が1日生活するのに、どれだけ二酸化炭素を出しているのか?」、「二酸化炭素が増えると地球にはどう影響するのか?」、「二酸化炭素を減らすにはどうすればいいのだろうか?」など、考えを深めていくといいでしょう。

保護者

身近なエネルギー問題から、地球全体のことや生物の未来のことを考えてくれるようになったらうれしいです。

自由研究を上手にまとめる4つのポイント

教室長

「実験がうまくいった!ああ楽しかった!」で終わってしまってはもったいないので、レポートのまとめ方にも工夫をしてみましょう。

保護者

メモしたいので、ポイントにしてもらってもいいでしょうか?

教室長

わかりました。もっとも重要なことは、実験レポートは「相手に伝える」ことを意識してまとめることです。具体的なポイントは4つあります。

 

① なぜこの実験をしようと思ったのか。
②どんな器材を使って、どういう手順で実験をしたのか。イラストや写真を使って、実験の手順や経過がわかりやすいようにするといい。
③調べものに使った資料やデータを明記する。
④実験を通して、わかったことや気づいたこと、反省点などをまとめる。

保護者

ありがとうございます。持ち帰って、うちの子にもアドバイスします。

保護者

レポートや発表って、大学生や社会人になると書く機会が増えるのよね。将来のためにも、自由研究での経験がきっと役に立つわ。

教室長

理科で学習することは、実際に身のまわりで起きている事象の根本的な原理を知ることにつながります。実際に手を動かして、観察して、体感して、実地で学べるところがほかの教科にはない魅力です。自由研究を通して、理科は楽しい教科であることに気づいてもらえるとうれしいです。

保護者

お子さんに「理科の実験って楽しい!」という気持ちが芽生えれば、実際の学習もスムーズに行えるかもしれませんね。高校になるともっと難しい物理や化学が出てくるでしょうから、今のうちに「理科=楽しい」という意識を持ってほしいです。

教室長

これからはアクティブラーニング、つまり正解のない問題を題材にさまざまな議論を交わしていくような学習がさまざまな場所でより多く実践されていくことでしょう。自由研究もまた、自主的に学習意欲を伸ばせるいい機会と言えるのではないでしょうか。保護者にはそういった自由研究のメリットや意義も踏まえながら、お子さんのサポートをしていただけたらと思います。

 

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