単位制高校は学年制高校とここが違う

保護者

ねえ、「単位制高校」って聞いたことある?

保護者

単位制?聞いたことがないわ。普通の高校とは違うんですか?

保護者

違うらしいの。この間、うちの子が進路指導の先生から聞いてきたの。通信制の高校のことかなと思ったんだけど、うちの子も詳しく聞いてこなかったみたいで情報が曖昧なの。知ってます?

保護者

知ってるわよ、一応ね。うちの子が高校受験の時には単位制高校はまだ少なかったけど、最近増えてるみたいね。でも私から聞くより、教室長から聞いたほうが正確な情報が手に入るわよ!

保護者

そうですね。教室長、単位制高校について詳しく教えてもらえますか?

教室長

もちろんです。まず、高校には「学年制」と「単位制」があります。一般に「高校」と聞いて思い浮かべるのは、全日制の学年制高校ですね。「単位制」は学年による教育課程の区分を設けないで、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高校のことです。

保護者

それは通信制とは違うんですか?

教室長

通信制高校も単位制高校の1つの形態です。単位制は、昭和63年度から定時制・通信制課程で導入されました。平成5年度からは全日制課程でも設置が可能になったんですよ。おっしゃる通り、単位制高校はここ10年で増えていて、今では全体の2割弱が単位制なんですよ。学年制から単位制に移行する高校も増えています。

保護者

全体の2割弱も!?そんなに多いとは驚きです。それだけ増えているってことは、単位制高校には魅力やメリットがあるということなんでしょうか。

教室長

そうですね。では、詳しく説明していきましょう。

単位制ならではの4つの特色

教室長

単位制高校には、4つの特色があります。1つ目は、「科目を自由に選択できる」ということです。多くの単位制高校では、修得する単位を自ら選択できるようになっています。自分で時間割を調整できたり、自分が得意な科目を中心に選べたりといったメリットがあります。多様な選択科目が設けられ、少人数授業も多いので、生徒さん1人ひとりの個性をのばしやすくなります。

保護者

単位制の「単位」というのは?

教室長

各科目の単位数は、1週間の授業時間によって決まっています。1週間に1コマ(50分)の授業を1年間受けると1単位になります。

保護者

なるほど。では、2つ目の特色は何ですか?

教室長

「学習のペースを自分で決められる」ことです。学年制では必要単位を1つでも落とすと留年になりますが、単位制ではそもそも学年の区分がないところが多いです。修業年限内に必要単位を揃えれば卒業できる仕組みです。

保護者

じゃあ、授業を毎日ぎっしり詰め込めば1年や2年でも卒業が可能なんですか?

教室長

現時点では単位制高校の修業年限は3年以上となっています。なかには4年以上に設定している学校や、在籍年数の上限が定められていない高校もあります。ですから、修業年限は入学前に調べておきましょう。

保護者

 留年の心配がなくてよいですね!

教室長

いや、必要単位数が不足していて卒業できないケースもありますので、誤解のないようにお願いします。特色の3つ目は「転入学・編入学時に単位を引き継げる」ことです。単位制高校に転入学・編入学する際には、前の学校で修得した単位を引き継ぐことができます。中途退学をした人が学び直したい場合などに有利です。

保護者

始めからやり直しにならずに済みますものね。

教室長

4つ目として「クラスや学年がない」学校があることです。生徒さんがそれぞれ自由に科目を選択するので、授業によって顔ぶれが異なります。その場合、「クラス」という縛りがないので、集団行動がニガテなお子さんや人間関係を煩わしく感じるお子さんには過ごしやすいかもしれませんね。ただし、人間関係の少なさはデメリットになる場合もあるので、学校によってはホームルームの時間をつくったり、修学旅行や部活動など生徒さん同士のコミュニケーションを促す機会を設けたりするなどの工夫をしています。

 

 

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単位制は自分のペースで学習したい人に向いている

保護者

では、どんな子が単位制高校に向いていますか?

教室長

自分で時間割を組んでスケジュール調整できるので、自分の好きな分野を好きなペースで学びたいお子さんに向いています。学習を進められる時期を狙って集中的に単位を修得したり、反対にゆっくりと時間をかけて学んだり。病気や怪我などが理由で、学校に通い続けることが難しい場合にもおすすめですよ。

保護者

でも、単位制高校だと進学率が落ちるとか、大学受験に不利とかいうことはありませんか?

教室長

偏差値レベルや特色は学校によってさまざまです。それは、単位制も学年制も変わりません。たとえば、東大合格者数ランキング常連校の埼玉県の県立浦和高校など、難関大学への進学率・現役進学率が高い単位制高校もありますよ。国公立大学の入試は近年、科目数が増え、内容も多様化していますが、単位制は自分の進路に最適な時間割を設定できるのできめ細かな対応ができます。一方、3教科中心の私立大学入試においても、科目を絞り込んで勉強できます。がんばるのも甘えるのも自分次第なので、「自律」の姿勢があるお子さんは多くを学んでいけるでしょう。

保護者

単位制高校もよさそうね。うちの子にも、改めて単位制について説明してみようと思います。

教室長

ぜひいろいろな高校の資料を取り寄せて、情報を集めてみるとよいですよ。単位制高校にはいろいろとメリットがありますが、楽に卒業できるとか、進級しやすいといった安易な気持ちではなく、積極的に自分に合った学びをしたいという前向きな気持ちで選ぶのであれば、1つの有効な選択肢になると私は思います。

■参考URL
単位制高等学校について(文部科学省ウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/seido/04033102.htm