学習曲線という言葉を聞いたことがある人は、あまりいないのではないでしょうか。学習曲線は、お子さんの教育に役立てることができるデータです。今回は、そんな「学習曲線が持つ可能性」についてご紹介します。
目次
学習曲線とは?
保護者
この前「学習曲線」(※)っていう言葉を聞いたんだけど、理恵さんは知ってる?
保護者
私も聞いたことがあります。復習の時間とかをグラフ化したものでしたっけ。
保護者
「練習量」と「反応時間」の関係を表した曲線のことらしいわね。私もこの前、教室長に教えてもらったの。
保護者
これってそもそも、何のためのものなんですか?
保護者
学習において、何度も反復練習を繰り返すことで、点数や技能が上がったりするということを証明するためのツールらしいわ。表の横軸が試行回数とか時間を表していて、縦軸が反応の大きさよ。要は作業量とか、学習の進捗と一緒に増加するものをグラフにすれば上昇曲線になるの。
保護者
そうなんですね。では逆パターンもあるってことですか?
保護者
ええ。作業時間や誤反応数とか、学習の進行と共に減少するものなら、下降曲線になるらしいわ。
保護者
時間や回数をかければかけるだけ、それに比例するかたちで、学習曲線も上がっていくってことなのね。
保護者
逆にそれが途中でできなくなれば、学習曲線も比例して下がる可能性があるってことですよね。もう少し詳しく知りたいです。
学習曲線ってどうやったら伸ばせるの?
保護者
教室長、学習曲線ってどうすれば伸ばせるんですか?
教室長
その前に、まずは学習曲線についてもう少し詳しく把握してはどうでしょう。学習曲線のことを正しく知ることで、現状理解が深まりますよ。
保護者
ぜひ教えてください。
教室長
学習曲線を上げていく段階において、実は3つのステージがあります。第1ステージは準備段階です。それこそ曲線が上がり始めたころですね。ここではかけた時間に対して、なかなか伸びてこない苦しい期間となります。
保護者
確かに勉強を始めて、急に成績が上がるわけではないですもんね。
教室長
そうなんです。でもだからこそ、第1ステージは踏ん張ってほしいところです。ここさえ乗り越えられれば、きっと点数は上がっていくのですから。
保護者
第1ステージをいかに乗り越えるかが戦略ですね。
教室長
一方、第2ステージは成長段階で、一気に伸びる時期になります。それこそ、第1ステージで培ってきたことが実を結ぶようになるんです。そして第3ステージは安定期間となり、蓄積した学力を高いレベルでキープできるようになるのです。
保護者
なるほど、そういうふうに段階が分かれていたんですね。
教室長
ええ。そして3つのステージの中では、第1ステージの重要性がかなり高いんです。私の知り合いで塾にお勤めの方が言っていたのですが、基本問題を演習する量が不足して、なかなかこの第1ステージを脱することのできないお子さんが多いそうです。
保護者
単純に演習量の不足だけで、なかなか学力が上がらないんですか?
教室長
それもありますが、気持ちの部分でも先に進めないお子さんが多いみたいです。反復練習の量がまだ少ないのはわかっていながらも、成果が出ないので、「ニガテだ」、「もうダメだ」とあきらめてしまうようです。
保護者
確かにこの先、どのように点数が上がっていくかなんて、想像できないですよね。たとえ演習量は少なくても、いつもよりがんばっているお子さんからしたらつらいですね。準備段階ですし、ここが一番大変そうです。
教室長
そうなんです。このステージ1をどう乗り越えるかを、じっくり考えておくことが大事です。たとえば、学習には最初に計画をしっかり立てておくことが必須ですが、この時に大きな目標だけでなく、小さな目標もたくさん立てておくことがポイントになります。
保護者
なかなか点数が出にくい時期なら、できれば点数以外で達成感が得られるようにしたいですよね。そのための小さな目標ということですね。
保護者
そして、小さな目標を達成するために必要なことが、反復練習ということよね。小さな目標であれば、取り組む範囲も少なくて済むから、復習もそんなに負担にならなさそうだし。小さな範囲をしっかり取り組み、継続していくことが大事よね。
学習曲線を伸ばすために、保護者ができることは?
保護者
教室長、学習曲線を伸ばすために私たちにできることってあるかしら。
教室長
もちろんありますよ。特に保護者のみなさんがフォローしてあげてほしいのは、第1ステージにお子さんがいるときです。
保護者
なかなか成果が出ないときだからですか?
教室長
それもあります。やはり取り組んだ勉強時間に対して、成果が出にくく、悔しい思いをする時期ですから。ここではできるだけ自信を持たせてあげることが大事です。1つ目標を達成するたびに、しっかりほめてあげてほしいですね。
保護者
あと、点数にもそんなにこだわらない方がよさそうですよね。あくまでがんばった過程を評価してあげる方がよさそう。
保護者
そうですよね。ここを乗り越えてもらうことが大事ですから、プラスの言葉をたくさんかけてあげたいですよね。第2ステージでは、どんなことができますか?
教室長
ここでは素直に、点数や実績など、出た成果に対してほめてあげましょう。努力が実ったんですから。ただ、このステージで安心し、努力することをやめてしまうお子さんもいます。そうすると学習曲線が下がり、また第1ステージに逆戻りとなってしまいます。そうならないためにも、新しい目標も見つけてあげたいですよね。
保護者
新しい目標ですか?
教室長
ええ。第1ステージのときにつくった目標とは、また別の目標をつくるんです。そうすることで、高いレベルを維持したまま、第1ステージで続けてきた努力を継続することができます。レベル自体が高くなっているので、第1ステージの時よりもスピードがつき、結果を出しやすくすることができます。
保護者
では第3ステージでは、何をすればよいのですか?そこまでいけば、完璧に思えますが。
教室長
第3ステージでは、さらに大きな目標を立て、かつ具体化します。それこそたとえば「○○高校(大学)に入る」という目標から、将来どうなりたいのか、また大学に入ったらどんな目標で何がしたいのかなど、イメージを膨らませながら目標を決めます。そうすると、自ずと今やらなければいけないことが見えてきますし、努力もキープできるかもしれません。要はモチベーションを高く維持することが大切なのです。
保護者
とても勉強になりました。要は反復学習で継続していけば、どんどん学習曲線は上がり、点数だけじゃなくて、人としても成長していけるかもしれないということですね。
教室長
おおまかにいえばそうですね。学習曲線を使用して、自分がどのステージにいるのか把握することで、自分の成長スピードなども見ることができます。自分を客観視しながら、前進していくことが大切です。
参照サイト:(※)学習曲線について
http://www.weblio.jp/content/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%9B%B2%E7%B7%9A