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教員の負担軽減に、文部科学省も対策を本格化!

教員の負担軽減に、文部科学省も対策を本格化!
最近、学校で働く先生の長時間労働が問題になっています。この問題を解決するため、ついに文部科学省も対策に着手しました。学校の先生たちが置かれている状況について見てみましょう。

教員の業務には外からは見えにくい仕事もいっぱい

ねえ、美香さん。昨年、ネット上で「ブラック部活」の議論が盛り上がったのを覚えていますか。

ええ、覚えているわよ。うちの子たちも部活動で顧問の先生にお世話になっているから気になっていたの。

「学校の先生は夏休みがあって楽な仕事」と思っていましたが、実情はまったく違うみたいですね。マスター、学校の先生たちは実際どのくらい長時間働いているのでしょうか?

ある調査(※1)によると、週に60時間以上働く小中学校の先生の割合は70~80%にもなります。また、文部科学省が調べた別の調査(※2)では、小学校の先生の約3割と中学校の先生の約6割が「過労死ライン」に触れているそうです。世界的に見ても、日本の公立学校の先生の負担は、かなり高いことは間違いありません。しかし、その一方でうつ病などの精神疾患で休職する先生の数は、約5,000人にものぼるそうです(※3)。
文部科学省は、学校の先生たちの長時間勤務を問題視しています。そして、先生たちの負担を軽減するために、公立小・中学校の教員定数を増やしたり、「学校支援地域本部」を全国の市町村に設置して、地域の人々の学校教育へのサポートを促したりするなどの取り組みをおこなってきました。しかし、多忙や長時間労働の負担から、うつ病になる方や、先生をやめてしまう方の数はなかなか減りません。

学校の先生たちのお仕事には、どんなものがあるのでしょうか。

学校の先生の仕事には、外からは見えにくい業務も多いです。授業以外に、教材研究、生徒指導や保護者への対応、校外活動などの調整、教務の仕事、校長先生や教育委員会への報告書の作成、研修会への参加や研究授業の準備、さらに部活動での指導などがあります。

生徒さんたちが夏休みの期間にも仕事があるそうですね。

はい。夏休みに限らず、生徒さんたちの長期休暇中も、先生たちには授業以外の仕事が山積みです。

そうだったんですね。

授業や教材研究、生徒指導といった「生徒さんと向き合う仕事」に時間が割けなくなっていることも大きな問題です。このままでは教育の質が低下してしまうかもしれないという懸念もあります。また、せっかく先生になったのに授業に専念できないのは、先生にとっても生徒さんにとっても不幸なことだと思います。

「ブラック部活」問題解決にむけての文部科学の取り組み

先生の長時間勤務のなかでも、特に部活動の指導の負担が大きいとニュースで報じていました。

「ブラック部活」として社会問題になっていますね。この「ブラック部活」問題解決に向けて、文部科学省も対策に乗り出しています。

うちの子も毎日部活動があって、先生はとてもよく指導してくれます。炎天下でも真冬でもグラウンドにいて指導してくれる姿には、感謝しかありません。

そうですね。部活動がブラック化しやすいのは、次のような問題点があるからだと考えられます。

・原則、部活動には休みがない
 …あってもお盆と正月など、少ない休みしかありません。

・部活動の指導は、高い専門性が求められる
 …自分の専門外の部活動の顧問になってしまうと、そのことに悩んでしまう場合もあります。

スポーツの強豪校などでは「好成績を残さなければならない」といった強いプレッシャーを顧問の先生が感じているかもしれませんね。

そうですね。ほかにも部活動がブラック化しやすくなってしまう問題点があります。
・ケガなどのトラブルがあったとき、顧問の先生に責任が問われること。
・部活動の顧問を断りたくても、断りにくいこと。
・休日に部活動を指導してもほとんど休日出勤の手当がつかないこと。

顧問の先生に、時間外手当などは出ないんですか?

1972年に施行されたいわゆる「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)によって、先生たちには超過勤務手当や休日給が支払われていません。代わりに支給される「教職調整額」もありますが、そちらも1ヵ月の給与の8時間分相当にすぎないと言われています。

顧問の先生の負担を減らすことはできないのでしょうか。せめて休みだけでも取れるとよいのですが…。

部活動の休養日については、1997年に当時の文部省が「中学校は週2日以上」「高校は週1日以上」と目安を示しています。しかし、残念ながらこの目安はあまり現場に浸透していないようです。そんななか、ついに2017年になって文部科学省が一連の部活動問題の対策に乗りだすと発表しました。

具体的にはどのような対策がとられるようになったんでしょうか。

文部科学省とスポーツ庁が2017年1月6日付で、部活動の休養日を適切に設けるように、全国の教育委員会に通知しました。しかし、部活動問題の解決に充分な予算措置が講じられていない以上、根本的な解決にはつながらないのではないかと私は危惧しています。通知を出すだけではなく、もっと実際的かつ具体的な対策で、教育現場の改善を急ぐ必要があるでしょう。

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先生の元気がないと、かわいそうなのは子どもたち

負担過多で先生が倒れると授業が遅れてしまうだけでなく、その先生が担当していた部活動は活動ができなくなってしまいます。また、相談したいことがあっても、忙しそうな先生に遠慮して声をかけられず、1人で悩みを抱えて我慢している生徒さんもいるかもしれません。信頼していた先生が学校を休んだりやめたりすることで、心の拠りどころをなくしてしまう生徒さんもいらっしゃるでしょう。

先生に余裕がないと、結果的に生徒さんたちが困ることになってしまうんですね。

そうですね。しかしながら、公教育は財源が限られているため、大幅に先生の数を増やしたり、外部から部活動の指導者を呼んだり、「部活動手当」のようなものを払ったりすることは現状では難しそうです。こうした厳しい状況を、まずは保護者や生徒さんたちも知ることが大切だと思います。

先生方が部活動の指導をしてくださることに、感謝をしている保護者はたくさんいます。同じ部活動の保護者同士でよく話すことですが、私たち保護者もできるサポートをしようと思っています。

そうですね。保護者の方に部活動を温かく見守ってもらえることは、きっと顧問の先生にとっても心強いことでしょう。

(※1)参照:朝日新聞デジタル『小中学校の教師7割、週60時間超勤務 運動部顧問は「午前7時前に出勤」も』
http://www.asahi.com/articles/ASK1G5227K1GUSPT00C.html
(※2)参照:朝日新聞デジタル『教員の長時間労働、深刻 中学の6割「過労死ライン」』
http://www.asahi.com/articles/ASK4Z7SG9K4ZUBQU00D.html
(※3)参照:文部科学省 平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査について
精神疾患による病気休職者の推移[PDF]
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/12/21/1380732_03.pdf