漢文には3つのスタイルがある!

保護者

 くん、しに、さん、らく、あり…。

保護者

何を読んでいるの?

保護者

知り合いのお子さんが高校受験をひかえているんだけど、どうも漢文がニガテらしくって。私も力になれたらと思って、こうやって問題集を眺めてはいるんですけど…。

教室長

ほう、漢文ですか。漢文は確かに、ニガテに思う生徒さんも多いようですね。

保護者

漢字がたくさん並んでいるから頭がこんがらがってしまいそう。漢文はどんなところを勉強したらよいのでしょう?

教室長

そうですね。まず漢文には3つのスタイルがあるということを理解しておきましょう。

高校受験を見据えて、中学3年生は「漢文」を見直そう!2

(出典:蘇軾「春夜」)

保護者

白文と訓読文と書き下し文…。

教室長

そうです。白文は漢字だけの中国語。訓読文は、元々の中国語(白文)に送り仮名や返り点をつけて日本語として読めるように工夫したものです。書き下し文は訓読文をひらがなと漢字で書き改めたもので、こちらは見ての通り完全な日本語です。

保護者

「漢文」と聞いてイメージするのは訓読文ですね。

教室長

中学校で習う漢文の肝である「返り点」が登場するのも、訓読文ですからね。

漢文最大の目玉「返り点」

教室長

返り点ってどんなものでしたっけ?

教室長

返り点は漢文の文法のようなもので、漢文を日本語の語順に変えるための記号です。中学校では「レ点」と「一・二点」の2つを習います。

保護者

その2つにはどんな違いがあるんですか?

教室長

レ点は1文字だけ下から上に戻って読む記号で、一・二点は下にある一点から上にある二点に返って読む記号です。

高校受験を見据えて、中学3年生は「漢文」を見直そう!3

(出典:李白「静夜思」、韓非子「守株」)

教室長

ちなみに訓読文から書き下し文にする時は、原則として送り仮名をひらがなにするという決まりがあります。

保護者

レ点と一・二点はどうやって使い分けるんですか?

教室長

2文字以上離れる場合は一・二点を使います。では、ちょっと難度を上げてみましょう。

高校受験を見据えて、中学3年生は「漢文」を見直そう!4

(出典:胡寅「読史管見」、韓非子「矛盾」)

保護者

ややこしくなってきましたね。レ点が連続する時は、一番下のレ点から読むんですね。

教室長

このようにレ点は連続することもあるし、一・二点は「一・二・三・四…」といったようにどんどん数字が重なることもあります。

保護者

なんで「弗」や「也」はひらがなになったんですか?

教室長

書き下し文にする時は、日本語の助詞・助動詞にあたる漢字はひらがなにするというルールもあるんです。「弗」は打ち消しの助動詞「ず」、也は断定の助動詞「なり」にあたるので、ひらがなで書きます。

保護者

ひらがなにする漢字も覚えなくてはいけないんですね。

教室長

はい。ただ、助詞・助動詞にあたる漢字はそこまで多くありません。問題集を繰り返し解いていれば、どれをひらがなにすべきかはだんだん気づけるようになります。ではこれが理解できたら、レ点と一・二点が混ざった漢文にチャレンジしてみましょう。

高校受験を見据えて、中学3年生は「漢文」を見直そう!5

(出典:檀弓下『礼記』)

保護者

一点とレ点が組み合わさっていますね。

教室長

このような場合は、まずレ点を優先して読み、次に一点、二点と返って読むようにします。

保護者

なるほど…。これは慣れが必要になりそうですね。

教室長

はい。漢文を攻略するには、漢文に慣れることが大切です。そのためには、問題集を繰り返し解いて法則を体に染み込ませるとよいでしょう。

保護者

先ほどの話から考えると、この「しむ」というのも助詞・助動詞だからひらがなになっているんですか?

教室長

そうです。「使む」は使役の助動詞「しむ」にあたるので、ひらがなで書きます。「使◯◯××」とあった場合は「◯◯をして××しむ」と読み、「◯◯に××をさせる」という意味になります。

 

 

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保護者

返り点や助詞・助動詞のほかに知っておくべきルールはありますか?

教室長

「置き字」にも注意が必要ですね。

保護者

置き字?

教室長

訓読文中には出てくるのに読まない漢字があるんです。

高校受験を見据えて、中学3年生は「漢文」を見直そう!

(出典:孔子『論語』)

保護者

この「而」が置き字ですか?確かに、書き下し文には出てきませんね。

教室長

置き字は全部で8種類あり、とくに「而」はよく登場する置き字なので覚えておきたいところです。

保護者

置き字というのは飾りのようなものなんですか?

教室長

いえ、読まれないというだけで、置き字にも意味はあるんです。この「而」には「そして」「しかし」といった意味がありますし、他の置き字にもそれぞれ意味はあります。

 

・而
…「そして」「しかし」の意味。順接と逆説どちらでも使われる
・於(オ)、乎(ウ)、于(コ)
…「~にて」「~から」「~よりも」「~によって」の意味
・矣(イ)、焉(エン)、也(ヤ)
…文末に置いて、その分を強調する
・兮(ケイ)
…漢文の見た目を整える

保護者

訓読文中にこれらの字を見つけたら、置き字だと判断すればよいのですね?

教室長

ややこしいことに、これらの字であっても、送り仮名がついていたら他の字と同じように読まなければいけないんです。引っ掛け問題にもなりやすいので、この点は要注意ですね。

保護者

なるほど。ほかにはどんな問題が出やすいんですか?

教室長

今までの話からはちょっと離れますが、漢詩の形式もよく問われます。

保護者

漢詩というのは、漢字で書かれた詩のことですか?

教室長

はい。返り点に慣れてきた中学2年生以降は、本格的に漢詩を学ぶことになります。漢詩の中でも唐詩には、絶句と律詩の2つのパターンがあり、全体が4行のものを絶句、8行のものを律詩と言います。

保護者

行が多いほうが律詩なんですね。

教室長

さらにその中でも、1行が5文字なら五語(ごごん)、7文字なら七語(しちごん)と細かく分類します。つまり、5文字で4行のものは「五言絶句」となるわけです。

保護者

7文字で8行だったら「七言律詩」になると。

教室長

そうです。これもテストに時々出る項目なので、基礎知識として覚えておきましょう。