理系の教科・科目が得意な方や、理系の学問・職業に興味がある方は、進学先の候補として理工学部が気になっているかもしれません。「理工学部っていろんな大学にあるけど、どんな学部なんだろう? 理学部や工学部とどう違うの?」と疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。この記事で理工学部の学問内容や卒業後の進路、入試内容などを押さえて、進路検討を着実に進めていきましょう。
目次
理工学部・理学部・工学部はどう違う?

大学について調べる中で、「理工学部」は「理学部」「工学部」と、「どう違うんだろう?」と疑問を感じる方もいるかもしれません。
それぞれの学部について、学ぶ内容や卒業後の進路を知っておきましょう。
■理学部
高校で学んだ、数学・物理・化学・生物・地学をより専門的に深く学ぶ学部です。数学・物理学・化学・生物学・地球科学科に大きく分類されます。これらの学科を更に細分化した学科・専攻を設置している大学もあります。高校までは、既に解明されている内容を学びますが、理学部では、まだ解明されていない謎を研究します。
■工学部
理学部の基礎研究で得られた知識や理論を、実際の製品やシステム開発に応用するための技術の研究を行う学部です。例えばロボットや自動車などの機械製品、電気製品や電子機器、情報通信の技術、建築物など製品開発やシステムの開発の研究をする学部です。機械工学・電気電子工学・建築学・土木工学・情報工学・バイオ工学・医用工学・データサイエンス学・材料工学・経営工学・資源工学・環境工学などを学びます。大学によっては、例えば「建築学部」のように特定の学問を独立した学部として設置している大学もあります。
■理工学部
一般的に、理工学部は理学に関する学科と工学に関する学科の両方がある学部です。工学部の学科・専攻が中心の場合が多いようです。
東京大学や大坂大学、東京理科大学のように理学部と工学部が設置されている大学、立教大学や学習院大学のように理学部のみ設置している大学はありますが、理工学部と工学部や理学部の両方を設置している大学は日本大学(文理・理工・工)や近畿大学(理・理工)など一部に限られます。
理学部・工学部・理工学部は学べる内容は多岐にわたります。学部・学科選びは将来の就職にも直結してくるため、大学で何を学び、研究したいかで選ぶのは当然、将来就きたい職業ややりたい仕事から逆算して検討しましょう。同じ名称の学部・学科でも、大学によって設置学科が異なったり、専門的に学べる内容は異なったりします。
まず、自分が何を学びたいのかを絞り込み、各大学の学部HPを調べたり、オープンキャンパスに足を運んだりなどして、設置学科・シラバス・教員の研究内容、卒業後の進路を丁寧に調べた上で学部・学科選びをしましょう。
理工学部ではどんな学びができる? 理工学部の設置学科や研究分野

大学の理工学部では、理系分野の学問のなかでも「理学」(物理学などの自然科学)と「工学」(化学や物理学、生物学などの基礎科学を工業生産に応用するための学問)を学ぶことができます。
理工学部で学べる学問分野はとても幅広いため、学部の中に多数の学科が設置され、さまざまな研究が行われていることが多いです。
大きく3つのカテゴリーに分けて、学べる内容や研究分野について見ていきましょう。
機械工学、電気・電子工学、土木工学などを学ぶ学科
理工学部には、機械工学や電気・電子工学、土木工学など、工学系の学問を学べる学科が備えられている場合が多くあります。
これらの学科では、機械や通信、エレクトロニクス、道路や橋などの社会インフラをはじめ、新しい技術や製品を開発するための知識を学ぶことができます。
例えば、法政大学理工学部機械工学科には機械工学専修と航空操縦学専修の2つの専修があり、前者ではロボットや材料などに関する学びを、後者では航空のメカニズムなどを学べます。
物理学、数学、化学などを学ぶ学科
理工学部の物理学や数学、化学などの学問を学ぶための学科は、大きな分類としては「基礎科学」と呼ばれ、自然界の基本法則や原理の解明を目的としています。
例えば立命館大学の数理科学科には、数学コースとデータサイエンスコースの2コースがあります。どちらのコースも現代数学の習得を目的にしていますが、データサイエンスコースでは、ファイナンス分野につながる知識も学びます。
理学と工学の融合教育を行う学科・複数の学域にまたがる学科・新しい学科
そのほか、システム工学(複数の装置や要素からなるシステムを設計・管理・管理することを目的とする工学)を学べる学部・学科もあり、情報、交通、機械など対象とするシステムの違いにより、さらに細かく分類されます。
例えば関西大学のシステム理工学部には、数学科、物理・応用物理学科、機械工学科、電気電子情報工学科があり、システム工学の考え方に基づいて工学系や基礎科学が学べます。
さらに関西大学のシステム理工学部では2026年、環境に配慮したテクノロジーの開発を目指して学ぶ「グリーンエレクトロニクス工学科」(仮称)が新設予定です。
また、「理工学科」と呼ばれる学科もあり、理学と工学を横断的に学ぶことができます。
例えば佐賀大学の理工学部理工学科では、数理サイエンスコースやデータサイエンスコースなど13のコースが設置されています。1年生は理工学の基礎となる科目を受講し、2年生からそれぞれのコースに進み、より専門的な教育を受けるカリキュラムになっています。
理工学部の教育システムと大学院(修士課程)進学

理工学部では、学部での4年間に加えて、大学院へ進学して学ぶ人が多くみられます。
理工学部に限ったデータではありませんが、文部科学省の「令和5(2023)年度学校基本調査」では、大学の学部卒業生のうち修士課程に進学する学生は、工学系で約4割、理学系で約4.5割となっています。
大学によって進学率には違いがありますが、2~3人のうち1人は大学院に進学するということになります。
学部と大学院ではそれぞれどんな学び方をするのか、大まかに知っておきましょう。
学部4年間で基礎教育を受け、大学院2年間で専門研究に取り組む
一般的に、学部での4年間のうち、最初の3年間は、理学や工学の土台となる数学や物理学、化学などの必修科目を中心に、専門的に研究を行っていくための基礎知識を身につけます。
4年生(一部大学は3年生)からは研究室に所属し、自分の研究テーマに沿った研究や実験を通して、卒業論文に取り組みます。
大学院に進学すると、学部で学んだ基礎をもとに専門分野をさらに深く学んでいきます。
学部と大学院(理工学研究科)の連携
先ほども述べたように、理学部・工学部・理工学部では、大学院に進学する学生が多くみられます。その理由として、学部と大学院の学びが密接に連携しており、学生がスムーズに学士課程から修士課程に進学できる環境が整っていることや、学部で学び研究した内容だけでは、将来専門性を活かした研究部門や職に就くには不十分な場合があることが挙げられます。
そのため、学部で学んでいるうちから将来の専門分野を決めて知識を身につけ始めたり、研究室での研究に参加したりして、自分の興味にしたがって積極的に学びを深めていくことができるのです。
学部生のうちから教授や大学院生と話す機会も豊富なので、「今後どんな研究に携わりたいか」「卒業後にどんな進路を歩むことができそうか」といったキャリアパスを具体的にイメージしながら学べます。
理工学部に向いているのはどんな人?

一般的に、理工学部に向いているのは以下のような人と言えるでしょう。
- 自然科学や数学、物理学などが好き、得意。
- ものづくりが好き
- 社会の問題を科学の知識を使って解決したい
- 研究職に就きたい、技術者になりたい
一方、理工学部への進学を考えるにあたって、理科や数学の成績が振るわないと「学びについていけるかどうか」心配な方もいるでしょう。
また、「理科や数学が苦手だけれど、将来就きたい職業が理系」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現段階で理科や数学の成績が思わしくなくても「理工学部に向いていない」とは言い切れません。
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理工学部卒業後のキャリアパス

大学の理工学部で学んだ人は、卒業後にどんな進路を歩むケースが多いのでしょうか?
理工学部卒業生の代表的な進路について見ていきましょう。
理工学部卒業後の就職先は、大学で学んだ分野に関する業種に就く傾向にあります。大学での学びを活かして研究職、開発職などに就きたい方、大学院へ進学し、更に研究を深め、専門性を高める必要がある場合もあります。
また、大学や学科によっては、必要な科目を履修して、中学校や高校の教員免許(所定の単位を修得した者が得られる資格)、一級建築士や二級建築士、(所定の単位を修得すると、卒業時に受験資格が得られる資格)、測量士(所定の単位を修得し一定の実務経験で得られる資格)など仕事に繋がる資格の受験資格を得られたり、試験免除で取得できたりする場合もあります。
理工学部のある大学と偏差値
ここでは一部の大学の理工学部の偏差値を紹介します。

上記はほんの一部ですが、大学間だけでなく、同じ大学・理工学部の中でも学科によって大きく異なることもあります。
偏差値は大学を選ぶ際の目安の一つではありますが、大学選びでは学ぶ内容も重要です。
同じような名前の学科でも、大学ごとに学べる内容が大きく異なることもあります。
また、国公立大学では理工学部ではなく、理学部と工学部がそれぞれ設置されている場合も多く、学びたい分野や、目指す大学などによって理学部や工学部を検討した方が良い場合も考えられます。
まずは気になった大学のホームページなどで、カリキュラムや所属する研究者の研究分野、大学院での研究内容などを調べてみましょう。
その上で偏差値も調べることで、大学を選びやすくなります。
理工学部に入学するには?
理工学部を受験する方法は、一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜の3種類です。
それぞれの方法について、簡単に知っておきましょう。
■一般選抜
基本的に、大学入学共通テストや大学ごとの個別試験などの入学試験の結果で合格が決まります。
■学校推薦型選抜
通っている高校の校長からの推薦が必要な入試方式。書類審査や面接、小論文、実技などを組み合わせて選抜が行われます。大まかには、大学から指定された高校からしか出願できない「指定校制推薦」と、条件を満たせばどの高校からでも出願できる「公募制推薦」があります。
■総合型選抜
校長からの推薦が不要で、書類審査や面接、小論文のほか、大学入学共通テスト、筆記試験などを組み合わせ、大学側が求める学生像(アドミッションポリシー)にマッチする学生を選抜します。

ただし、ひとくちに「一般選抜」「総合型選抜」などと言っても、大学によってその方式や選抜内容はさまざまです。
例えば、私立大学の一般選抜では、大学入学共通テストを利用するものや、大学入学共通テストの結果のみで合否が決まる方式もあります。
試験で課される教科・科目も大学や入試方式等によって違います。
国公立大学の一般選抜では多くの場合、大学入学共通テストでは国語、数学、外国語(英語)、理科、地歴・公民、情報の6〜7教科が課されますが、個別試験では数学、英語、理科の3教科、数学と理科の2教科、あるいはそのどちらか1教科のみ、さらには個別試験を課さない、という場合もあります。
私立大学では、英語、数学、理科の3教科型や、大学入学共通テストを利用する場合は、5教科型も見られます。
いくつかの理工学部について、一般選抜で課される教科・科目を紹介します。
(以下はテキストで記した場合)
理工学部の受験科目例
(参照:各大学ウェブサイト ※2026年1月時点の情報をもとにしています。)
■横浜国立大学(前期)
・理工学部【機械・材料・海洋系学科】
大学入学共通テスト:
英語、国語、数学(数学I・Aと数学II・B・C)、理科(物理と化学)、地理歴史・公民(「地理総合,地理探究」、「歴史総合,日本史探究」、「歴史総合,世界史探究」、「公共,倫理」、「公共,政治・経済」から1科目)、情報
個別学力検査:英語、数学(数学I・II・Ⅲ・A・B・C)、理科(物理基礎・物理と化学基礎・化学)
・理工学部【化学・生命系学科】
大学入学共通テスト:
基本的に上記と同様。大学入学共通テスト部分のみ、理科で「生物」も選択可能。
■慶應義塾大学
・理工学部 一般選抜:英語、数学(数学I・II・Ⅲ・A・B・C ※ただし、数学Aからは「図形の性質」、「場合の数と確率」、「数学と人間の活動」のうち「整数の性質」に関する部分、数学Bからは「数列」、数学Cからは「ベクトル」、「平面上の曲線と複素数平面」を出題範囲とする。)、理科(「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」)
■近畿大学
・理工学部(一般入試・前期(A日程)):
英語、数学②(「数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列)・数学C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面))、理科(「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」 から1科目選択)
※理学科(化学コース)、生命科学科のみ、数学は数学①(数学I・数学II・数学 A・数学 B(数列)・数学 C(ベクトル) )と数学②から1科目選択
・理工学部(大学入学共通テスト利用入試3教科3科目型):「数学II、数学 B、数学 C」は必須 、「英語」(リスニングを含む) 「国語」(近代以降の文章) 「物理」「化学」「生物」 から高得点の2教科2科目
・理工学部(大学入学共通テスト利用入試5教科5科目型):「英語」(リスニングを含む) 、「数学II、数学 B、数学 C」 、「国語」(近代以降の文章) 、「理科」(物理、化学・生物から1科目)、「地理歴史、情報」(「歴史総合、世界史探究」「歴史総合、日本史探究」「地理総合、地理探究」 「情報I」から1科目)
いずれの選抜方式でも、基本的には理科や数学、英語は予習中心で高校の授業や定期テストに力を入れ、成績をキープしておくことで、進路の選択肢を広げることができます。
特に英語・数学・理科は、一般選抜では国公立大でも私立大でも入試で課され、配点が高いことも多く、合否のカギを握る重要な教科です。
それぞれの教科について、入試を意識した学習のコツを紹介します。
■英語
構文力や語彙力をコツコツ身につけ、大学入学共通テストを意識してリーディングと並行してリスニング対策を行いましょう。
■数学
理学部・工学部・理工学部では数学Ⅲ・Cまで課される場合が多いので、授業で習った定理・公式や基本問題の解法は着実に身につけ、基礎を早めに仕上げておきましょう。
■理科
受験する大学や学科によって課される科目や科目数が異なるので、志望学科を早めに絞り込み、基本問題を解けるようにしておきましょう。特に数学や理科は通っている学校・コースによっては授業ペースが遅く、学校の速度に合わせた学習では、入試範囲が終わらないことがあります。
また総合型選抜や学校推薦型選抜は入試時期が早く、入学を志望する方は志望する大学や学科で何を学びたいのか、学んだ後で何をしたいのかが問われます。自己分析や大学調べをしたり、オープンキャンパスに参加したりして、大学で学びたいテーマを早めに見つけましょう。
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