人は睡眠中に記憶の整理をすると言われています。また、集中力や意欲を維持するのにも睡眠は重要です。では、実際どれくらい眠れば集中して勉強ができるでしょうか。今回は、勉強と睡眠時間の関係について見ていきましょう。
目次
増える子どもの睡眠障害に専門医が警鐘
保護者
最近、うちの子が夜更かしするようになってきているんです。勉強も部活動もがんばっているのはうれしいのですが身体が心配です。
保護者
最近、お子さんの睡眠障害が増えているんですってね。この前も「専門病院ができるほど多くなっている」とテレビ番組で特集されていたわ。
保護者
その番組はどういう内容だったんですか?
保護者
公的な医療機関の専門医の先生が「朝どうしても起きられない」「学校に行きたいのに体が動かず、布団から出られない」「夜早く寝ようと思っても、遅くまで眠れない」などの訴えで、先生のところに相談に来る親子が多いと言っていたわ。
教室長
睡眠障害は二次的な障害も大きな問題ですね。「遅刻ばかりでまわりから冷たい目で見られてつらい」「勉強にも身が入らない」「イライラして暴力的になる」など、睡眠障害が原因で仲間外れにされたり、不登校になってしまうお子さんも多いそうです。
保護者
睡眠障害の背景には、慢性的な睡眠不足があると聞いたことがあるわ。勉強や部活動を優先して睡眠を削っていった結果、睡眠リズムが乱れてしまって、「起きよう」と思っても自分ではコントロールができない状態になるそうよ。睡眠のリズムを取り戻すのに、年単位の長い入院生活が必要になるお子さんもいるみたいなの。
教室長
睡眠がとれていないことで、自律神経のバランスがくずれ、うつ病を併発するお子さんもいるそうです。真面目にがんばるお子さんや、完ぺき主義のお子さんの場合は、保護者の方が生活リズムを気にしてあげるようにしてください。
発達途上の子どもに必要な睡眠の量と質
教室長
睡眠は脳の前頭葉に影響するといわれています。前頭葉は物事の判断や欲求、記憶などに関係する場所です。記憶を引き出すのも前頭葉の役目です。ですから、寝不足になると、頭の働きが低下して、勉強の効率が落ちてしまいます。文部科学省の調査では、「規則正しい就寝、規則正しい起床」や「夜10時より前に寝る習慣がある」と答えたお子さんほど、学力が高い傾向がありました(※1)。
保護者
しっかり眠ることと学力には相関関係があったのね。
教室長
睡眠は運動能力とも相関関係があるようです。文部科学省が出している『子どもの体力向上のための取組ハンドブック』には、「睡眠時間が6時間未満、6~8時間、8時間以上33群で体力合計点を比較すると、小学生では男女とも8時間以上の群の体力合計点が高く、睡眠時間が短くなるほど体力合計点が低いという結果が示された。」とあります(※2)。
保護者
中学生は何時間ぐらい眠ればよいのでしょうか。
教室長
個人差もありますが、これらの調査から総合的に判断すると、8時間以上の睡眠が必要そうですね。成長期のお子さんにとって睡眠は大切なものです。時間的な「量」だけでなく、眠りの「質」を満たすことも意識してください。
保護者
特に睡眠の質は「睡眠のリズム」に影響されるんですって。テレビに出ていた医師も「寝る時間と起きる時間がある程度、毎日規則正しくちゃんとしていれば、本当は睡眠のリズムは規則正しいものになります。そうしますと、睡眠の質もよくなります。」って言っていたわ。日中に眠気がある場合は、睡眠が足りていない可能性があるそうよ。
夜の睡眠が足りなければ昼寝も有効
保護者
やはり睡眠を削って勉強や部活動をがんばりすぎることはよくないんですね。
教室長
勉強も部活動も、がんばった分、心も身体も休めてあげましょう。登校時間から逆算して8時間は眠れるように、就寝時間や入浴時間を決めるといいと思います。また、部屋や布団を寝心地よくして、熟睡できるようにするのも大切です。
保護者
保護者が夜更かししていると、その生活スタイルにお子さんが引きずられているケースもあるように思うわ。夕食時間や入浴時間が遅かったりしないか、保護者もできるだけ生活スタイルを見直さなくてはいけないかもね。
保護者
私も気をつけます。大人にとっても睡眠は大事ですから、家族みんなで早寝早起きを合言葉にしてみたいと思います。
教室長
それはよい取り組みですね。とは言え、テスト前などはどうしても夜間の睡眠時間が短くなってしまう場合もあると思います。もし日中に眠気が来たら、睡眠不足のしるしと考えて、しっかり睡眠をとるよう心がけましょう。
保護者
昼間に15~20分程度の仮眠をとるなどすると、スッキリすると聞いたことがあるわ。
教室長
週末に1時間多めに寝るなどして、睡眠不足をリセットするのもよいと思います。ただし、長めに寝て遅く起きた日は、就寝時間が遅くなってしまわないよう気をつけてください。ふだんより多めに睡眠をとるときは、睡眠リズムを乱してしまうリスクもあるので、1時間程度にしておくのがよいでしょう。
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参照:不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~ – NHKクローズアップ現代
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3597/index.html
参照:大人よりも深刻――子どもの「睡眠負債」その実態とは – Yahoo!ニュース 特集
https://news.yahoo.co.jp/feature/722
(※1)出典:学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究 – 文部科学省 2014年
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/
2014/02/17/1344302_004.pdf
(※2)出典:子どもの体力向上のための取組ハンドブック-全国体力調査によって 明らかになったこと – 文部科学省 2012年
http://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2012/07/18/1321174_05.pdf