〈命令文〉とは

英語の文には、大きく分けて3つの基本スタイルがあります。
1つは、〈平叙へいじょ文〉です。事実や自分の意見を述べ、相手に情報を提供するスタイルで、もっとも多く見られるスタイルがこれです。
2つめは、〈疑問文〉です。物事を訊ね、相手に情報の提供を要求するスタイルです。Yes / Noの回答を求めたり、「いつ」「どこで」「なにが、なにを」などの疑問詞を用いて物事そのものの情報を求めたりするスタイルです。
そして3つめが、〈命令文〉です。「…しなさい」「…してくれ」「…しよう」「…するな」などの意味を表し、相手に行動の開始・変容・終了を要求する文のスタイルで、命令だけでなく、要求・勧誘・禁止なども含まれます。
簡単に言えば、相手に情報を与えるのが〈平叙文〉、相手に情報を求めるのが〈疑問文〉、相手に行動を求めるのが〈命令文〉ということになります。そのほかに〈感嘆文〉などを加えて説明する場合もありますが、ここでは3つの基本スタイルに即して説明していきたいと思います。

 

 

〈命令文〉のつくり方

英語の文は通例、主語(S)と述語動詞(V)から成り、必要に応じて補語(C)・目的語(O)・修飾語(M)などを伴います。
しかし、〈命令文〉は、目の前にいるコミュニケーションの相手、すなわち「君/君ら」に向けて発せられるものです(その場にいなくても、電話などでコミュニケーションをとっていれば「目の前」にいるのと同じですが、コミュニケーションをとっていない相手(彼・彼女/彼ら)に対しては命令はできません)。つまり、〈命令文〉では、主語(S)として常にYouが想定されています。主語のYouが自明であるため、主語は省略されます。そのため、〈命令文〉は述語動詞(V)から始まるのです。さらに、この述語動詞(V)は、主語がYouで、なおかつ(命令は今その場で発せられることから)時制の影響も受けないため、原形で表されます。
以上を踏まえて〈命令文〉のつくり方を整理すると、次のようになります。
① 主語Youを省略する。
② 動詞の原形で始める。 
※ be動詞を用いた〈命令文〉はBeで始める。

たとえば、「君は英語を一生懸命に勉強します」という〈平叙文〉を、「英語を一生懸命に勉強しなさい」という〈命令文〉で表すと、次のようになります。
You study English hard. 〈平叙文〉(君は英語を一生懸命に勉強します。)
Study English hard.   〈命令文〉(英語を一生懸命に勉強しなさい。)

また、「君は他人に親切です」という〈平叙文〉を、「他人に親切にしなさい」という〈命令文〉で表すと、次のようになります。
You are kind to others. 〈平叙文〉(君は他人に親切です。)
Be kind to others.    〈命令文〉(他人に親切にしなさい。)

このように、〈命令文〉のつくり方はそう難しいものでありません。上の例ではいずれも、主語Youが省略され、動詞の原形(StudyやBe)で始められていることがわかると思います。

■個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~3)について、和文に合う英文になるように(  )に適語を入れなさい。
1)(   ) the window. (窓を開けなさい。)
2)(   ) at that picture. (あの絵を見なさい。)
3)(   ) careful of snakes. (蛇に気をつけなさい。)

《正解》
1)Open  
2)Look  
3)Be

《解説》
1)「窓を開ける」はopen the widowです。「窓を開けなさい」という〈命令文〉は、動詞の原形Openで始めます。
2)「あの絵を見る」はlook at that pictureです。「あの絵を見なさい」という〈命令文〉は、動詞の原形Lookで始めます。
3)「蛇に気をつける」はbe careful of snakesです。「蛇に気をつけなさい」という〈命令文〉は、be動詞の原形Beで始めます。

 

 

さまざまな〈命令文〉

〈命令文〉は、「…しなさい」という命令だけでなく、「…してくれ」という要求、「…しよう」という勧誘、「…するな」という禁止なども表します。いずれの場合も、主語Youを省略して動詞の原形で始めるという〈命令文〉のつくり方の基本はそのままに、それぞれの意味に応じて応用的な表現方法がとられます。

 

 

「…してくれ」(要求)を表す〈命令文〉

「…しなさい・…しろ」という命令には、高圧的なニュアンスが漂います。
これをもう少し和らげ、「(どうか)…してくれ」という要求や「(どうぞ)…してください」という丁寧な要求も、〈命令文〉で表せます。その場合、〈命令文〉の文頭にPlease、または文末に“, please”を置きます。

Sit down. (座りなさい。)
Please sit down. / Sit down, please. (どうぞ座ってください。)

このpleaseは元来、if you please(もしよければ)という副詞節が短くなったものと言われています。

 

 

「…しよう」(勧誘)を表す〈命令文〉

〈命令文〉は、相手に行動をうながすものです。そこで、相手に対し、話し手である自分と共に「…しましょう・…しましょう」と行動をうながす勧誘も、〈命令文〉で表せます。その場合、〈命令文〉の文頭にLet’sを置きます。

Play that song. (あの曲を弾きなさい。)
Let’s play that song. (あの曲を(共に)弾きましょう。)

このLet’sは、Let usが短縮されたものです。〈let A+動詞の原形〉は「Aに…させる」であるため、〈Let us+動詞の原形〉は「我々(=話し手とその相手)に…させなさい」と相手に行動をうながす文になります。そうして〈Let’s+動詞の原形〉が「(我々で共に)…しましょう」という勧誘の表現になりました。

 

 

「…するな」(禁止)を表す〈命令文〉

〈命令文〉には、「…しなさい」という肯定の命令と共に、「…するな」という否定の命令、すなわち禁止もあります。その場合、〈命令文〉の文頭にDon’t[Do not]やNeverを置きます。その際、Neverは「(この先)二度と…するな」という意味で言う場合に用いられます。

Say something. (何か言いなさい。)
Don’t say such a thing. (そのようなことを言うな。)
Never say such a thing. (そのようなことを(この先)二度と言うな。)

また、be動詞を用いた〈命令文〉の場合も、その否定文では文頭にDon’t[Do not]やNeverを置きます。
Don’t be late for the appointment. (約束の時刻に遅れるな。)
Never be late for the appointment. (約束の時刻に(この先)二度と遅れるな。)

なお、〈平叙文〉の場合、don’tは一般動詞の否定形で用いられ、be動詞の否定形はam[are / is] not …と表されます。しかし、〈命令文〉の場合、一般動詞であれbe動詞であれ、否定形は共通して〈Don’t+動詞の原形〉です。特にbe動詞を用いた〈命令文〉の否定形の場合、Be not …やNot be …などとしないように注意してください。

■個別指導塾の基本問題に挑戦!
《問題》次の1)~4)について、和文に合うように[  ]内の語句を並べ替え、英文を完成させなさい。
1)10時に就寝しなさい。 [at / bed / go / ten / to].
2)お金をいくらか貸してください。 [lend / me / please / some]money.
3)学校まで歩いて行きましょう。 [let’s / school / to / walk].
4)間違いを犯すことを恐れるな。 [afraid / be / don’t / making / of]mistakes.

《正解》
1)Go to bed at ten.
2)Please lend me some money.
3)Let’s walk to school.
4)Don’t be afraid of making mistakes.

《解説》
1)「…しなさい」は、命令を示す〈命令文〉で表すため、動詞の原形で始めます。「就寝する」は〈go to bed〉です。
2)「…してください」は、丁寧な要求を示す〈命令文〉で表すため、〈Please+動詞の原形〉で始めます。「Aにお金を貸す」は〈lend A money〉です。
3)「…しましょう」は、勧誘を示す〈命令文〉で表すため、〈Let’s+動詞の原形〉で始めます。「…に歩いて行く」は〈walk to …〉です。
4)「…するな」は、禁止を示す〈命令文〉で表すため、〈Don’t+動詞の原形〉で始めます。「…を恐れる」は〈be afraid of …〉であるため、「…を恐れるな」はDon’t be afraid of …と言います。

これまでみてきたように〈命令文〉を作るのはけっして難しいことではありません。ただし、実際のコミュニケーションの中では、「命令」ゆえに失礼にならないような配慮も大切です。一般的な社会生活の中では、命令文の〈Please〉を前後に付けて、丁寧な〈命令文〉の言い方にすることが多いものです。

また、ビジネスの場で「Sit down, please.」(座ってください)ではなく、「Have a seat.」(椅子におかけください)と言うのが一般的です。命令形は特に円滑なコミュニケーションを図るうえで、そんな言い回しの部分にも注意しながら学ぶことができると理想的でしょう。