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私立高校授業料、2020年度から一部無償化へ

私立高校授業料、2020年度から一部無償化へ
公立高校の併願として私立高校を受験するお子さんも多いと思います。そこで気になるのが、私立高校に進んだ場合の費用と、これからの教育無償化の動向です。今回は、私立高校の無償化の現状について、2017年の最新まとめ情報をお届けします。

私立高校進学にかかる初年度の費用は平均約75万円

うちは公立高校が第1志望なのですが、併願として私立高校も受験しようと考えています。ただ、公立高校のランクを1つ下げて確実に公立に行かせるか、私立に入れることも覚悟の上で、模擬試験で実力相応とされる公立を受験させるかで正直かなり迷っています。

そうね。公立と私立ではかかるお金も違うし、悩むのもわかるわ。

金銭面よりうちの子の気持ちを尊重したいのですが、やはりかかる金額は現実問題として気にはなります。マスター、もし私立に進むことになった場合、どれくらい費用がかかるものなのでしょうか。

学校によって入学金や授業料など、かかる費用は異なってきますが、文部科学省の「平成28年度私立高等学校等授業料等の調査結果について」(※1)によると、全国の私立高校の授業料・入学料・施設設備等の合計は、平均724,694円となっていますね。授業料だけでいうと、年間で平均40万円くらいです。

そのほかに、私立は受験料もかかるわよね?

同資料によると、私立高校等の受験料は平均15,936円とあります。

初年度は受験料込みで約75万円。3年間通うとすると、ざっと150万円くらいでしょうか。

そういうことになりますね。ただし、こちらの数字はあくまで平均額なので参考程度にしてください。志望校が決まったら資料を調べたり、学校に問い合わせたりするなどして正確な金額を調べてくださいね。

はい。

高校無償化「高等学校等就学支援金制度」とは?

ところで、この前テレビで「私立高校の授業料も無償化されるかもしれない」という話が出ていたのですが、いったいどういう制度なんですか?

「高等学校等就学支援金制度」のことですね。高校の無償化そのものは平成22年から始まっており、平成26年から一部内容を変えて「高等学校等就学支援金制度」として再スタートしました。現行の制度では、公立高校が無償化されています。美香さんがご覧になったのは、この制度をさらに私立高校にも拡充しようという動きを取り上げた、最新のニュースですね。

現行の制度から説明してもらえますか。

わかりました。現行の制度は平成26年度以降に高校等に入学する生徒さんを対象にしたものです。支給額や所得制限は、次のようになっています(※2)。つまり公立高校の授業料に相当する額を一律支給することで、実質的に授業料が無償化されているというわけです。
●公立高校…全日制は月額9,900円、定時制は月額2,700円、通信制は月額520円。
●私立高校…全日生・定時制・通信制ともに月額9,900円。ただし、世帯の収入状況によって就学支援金の支給額が異なる。
●市町村民税所得割額が30万4,200円以上の世帯の生徒は対象外。
※より詳しい情報は、文部科学省の「高等学校等就学支援金(新制度)」リーフレットやホームページに掲載されています。

私立でも一部補助は行われているのね。

はい。多くの場合において公立高校の生徒さんがいる家庭と同じ額が支給されています。それでも経済的負担は公立に比べると大きいため、今後は全額無償にしようという動きが活発になってきているのです。さきほど平均40万円という私立高校の授業料の話が出ましたが、それくらいの水準まで引き上げようという議論がなされています。ただし、対象世帯の所得制限が設けられる見込みで、この点は注意が必要です。そのほか支給の仕組み、無償化のための財源確保など実施のための具体的な話し合いが行われています。

なぜ教育の無償化が大事なのか

そもそも政府はどうして教育の無償化を推進しているのですか?

政府発表の資料(※3)には、次のように目的が記されています。「今後の人口減少や経済社会の変化、就業構造の変化の中で、イノベーションを創出し、生産性を向上させるためには、一人一人の能力の高度化が不可欠。このため教育投資が重要。」また、「今後の成長を担う人材の育成に向けた「教育の質の向上」と「切れ目のない教育費負担軽減」を両輪として加速することが必要。」ということです。

つまり、どういうことですか?

簡単にいうと、幼児教育→義務教育(初等教育・中等教育前期)→高等学校(中等教育後期)→高等教育のそれぞれの段階において、「金銭的な事情で教育が受けられない」ということがないようにしたいというものです。未来を担う人たちに必要な教育を提供することで、日本社会ひいては世界で活躍する人材を育成するのがねらいです。そのための具体策として、国を挙げて教育費をバックアップするという考え方です。

一番気になる私立高校の無償化はどうなるのでしょうか。マスターの見込みでよいので、聞かせてください。

あくまで現在の状況(2017年12月時点)を見ての意見になりますが、「私立高校の無償化」といっても、世帯所得による制限が設けられることが予想されます。2017年12月8日の臨時閣議で、「人づくり革命」と「生産性革命」を実現するための「政策パッケージ」の1つとして、2020年度までに年収590万円未満の世帯には約40万円を上限に補助することなどの閣議決定が報じられています(年収によって補助額が異なる)。つまり私立高校授業料の全国平均約40万円を上限に支給することで、実質無償化する方向で調整しています(※4)。ただし、2019年10月に予定されている消費税10%への引き上げの実施の有無、今後の政局や国内外の経済情勢によっても変わってくる可能性があるので、注意が必要です。

ありがとうございます。これまで気になっていたことがわかってスッキリしました。進路については、じっくりうちの子とも話し合ってみます。

(※1)参照:文部科学省:平成28年度私立高等学校等授業料等の調査結果について、2017年
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1380903.htm

(※2)参照:文部科学省:高校生等への修学支援、2014年
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm

(※3)参照:内閣府:高等教育の一体改革について(文部科学省編)、2017年4月
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0425/sankou_02.pdf

(※4)参照:内閣府:新しい経済政策パッケージ、2017年12月
http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf