どの高校が併願できる? 何校くらい併願できる? 併願の制度を知ろう

保護者

うちの上の娘、私立高校へ進学できたらと思っているんですけど、やっぱり受験で併願は必要ですよね? 今のうちから併願校も考えておくべきかしら? どう思いますか、教室長。

教室長

お嬢さんは中学1年生ですよね。まだ急ぐ必要はありませんが、早いうちから意識しておくことは大事なことだと思いますよ。では、今回は併願についてのお話をしましょうか。

保護者

ぜひ、お願いします!

教室長

まず、「併願」というのは第一志望が不合格だった場合の対応策です。ですから、併願校を選ぶポイントとしては確実に合格できる学校を選ぶこと、そして併願校のほうに行くことになる可能もあるので、お子さんに合った学力・校風の学校を選ぶことが大前提になります。入試では当日の得点はもちろん、内申点も重要ですよ。学力検査で同点が複数いた場合、内申点で合否が左右される可能性がありますから。都道府県によっては内申点の条件が指定されている高校もあるので調べておいてくださいね。

保護者

はい。

教室長

併願にもさまざまな制度があって、大きく「推薦入試で私立校を併願する場合」と、「一般入試で私立校を併願する場合」に分かれます。

推薦入試での私立校併願には、①入学前提の併願と②入学辞退可能な併願の2つがあります。
①の入学確約前提の併願は、第一志望(公立高校であることが多い)が不合格だった場合、かならず併願校に入学することを約束して受験します。
②の辞退可能な併願は、他校との併願に制約がなく合格後でも辞退が可能です。

一般入試での私立校併願には、③の専願優遇措置と④の併願優遇措置とがあります。
③の専願優遇措置は、合格したらその学校にかならず入学することを約束した生徒に対し、入試得点に加点するなどの優遇措置があります。
④の併願優遇措置は、先程の①確約前提の併願の場合に、その生徒に対して入試得点に加点するなどの優遇措置です。

保護者

②の「他校との併願に制約がなく」というのは、どういう意味ですか?

教室長

「複数の私立を併願してもよい」という意味です。たとえば、第一志望が公立で、その備えとして私立2校を併願するといったような場合、公立が不合格だったとき私立2校とも合格していれば、どちらを選んで入学してもOKです。

保護者

なるほど。そういうこともできるんですね。

第一志望と併願校の決め方を知ろう

教室長

では次に、併願のパターンについてです。併願のやり方にも、いくつかのパターンがあるのはご存じですか?

保護者

いいえ、知りません。

教室長

代表的なパターンとして4つ挙げますね。都道府県によってはあてはまらない場合もありますが、併願校を決めるときの参考にしてください。
① 第一志望が公立高校で合格圏内の場合、併願校も同程度の入学難度の私立高校を選択します。公立高校に合格する可能性が高いけれども、念のため私立高校をおさえておくパターンです。
②第一志望が公立高校で実力相応校の場合、併願校は第一志望の高校よりも1ランク下の私立高校を選択します。合格可能性の高い私立を併願することで、リスクを回避するパターンです。
③公立高校が第一志望でありながら、公立高校の合格圏内に近づけない場合は、私立高校を併願校とします。公立高校に合格するとは限らないので、合格圏内にある私立校を先に受験して合格を確保しておくパターンです。
④難関私立校が第一志望の場合、安全圏の私立を併願します。公立高校は受験しないで、私立高校のみを併願するパターンです。

保護者

うわー、こんなにあるんですね。迷いそう。

教室長

志望校を考えると、つい同じくらいの入学難度の学校ばかりを選びがちですが、入試日程が早めにある安全圏の高校を選ぶと入試の雰囲気に慣れることもできます。お子さんは、受験までまだ十分時間がありますから、じっくり検討するとよいですよ。
過去、中学の先輩たちがどのような併願のしかたをしたか、併願校の一覧を作っている学校や塾もありますから先生に聞いてみるとよいと思います。

保護者

そうします!

こんなことに困る! 併願校の面接のコツ

保護者

ところで私立高校の受験には面接がありますよね。どんな質問をされますか?

保護者

一般的に多いのは、「志望動機」「中学で力を入れたこと」「高校でやりたいこと」「長所・短所」「最近起こった出来事」などです。自分がこれまで継続的に努力をしてきたことや困難を克服した経験を伝えましょう。これからも継続的に努力できそうな生徒であることが、先生たちに伝われば問題ないでしょう。

保護者

知り合いのお子さんが、併願の面接で「併願している高校はありますか」と聞かれて答えにくかったと言っていました。

教室長

併願の場合には、ほかにも「第一志望の高校はどちらですか」「両方に合格したら、どちらに入学しますか」と聞かれたりもします。でも、事実と異なることを述べる必要はないんですよ。なぜ併願校にここを選んだのか、もし入学したら何をしたいのかなどを伝えればOKです。たとえば、「御校と併願校に決めた理由は、学区内で●●大学への進学率が高いことです。両方に受かったらもう一度親と相談して決めますが、●●の部活動により力を入れている御校に入りたいです」というように。

保護者

素直に、誠実に、答えればよいのですね。

教室長

基本的には高校受験生としてふさわしい受け答えができるかどうか、ということですので、中学校生活の中でどんなことをがんばったか、これからどんなふうにがんばりたいかが伝えられるようにしておきたいですね。本番ではどうしてもアガってしまうと思いますから、面接の練習をして質問や雰囲気に慣れておくようにしましょう。担任の先生や塾の先生に試験官役をお願いすれば、やってくれますよ。

保護者

やっぱり事前の準備は必要なのですね。

教室長

あと、併願入試は保護者が強く推す高校を本人が納得しないまま受験するというケースがまれにあります。そんな状態で高校進学することになっては本人にとっても学校にとっても不幸ですから、面接試験や筆記試験の様子で再確認するという意味合いもあるようです。特に私立高校の入試の場合はご家庭と中学校、そして高校の三者がお互いに信頼関係を持って臨めるようにするのが大切です。

保護者

ありがとうございます。よくわかりました。受験という大変な時期であっても、しっかり家族同士のコミュニケーションをとっておくことが大切なのですね。