お子さんが不登校になったときに気をつけたいこと

保護者

うちの娘のクラスメイトがもう1ヵ月ほど休んでいて、いわゆる不登校だと思うんですけど他人事には思えなくって。

保護者

勉強のこと、部活動のこと、友だちとの関係…確かに中学生は悩みの多い時期でもあるわね。

教室長

なにがきっかけで不登校になってしまうかは、いろいろな原因や背景があるようですね。不登校の生徒さんの数だけ理由があるなんて言われることもありますし、どのお子さんが不登校になってもおかしくないのかもしれません。

保護者

うちの子が不登校になってしまったらなんて、うまく想像できないわ。保護者としてどう対応すればいいんでしょう?

教室長

まず、無理やり学校に行かせるのは避けたほうがいいようです。いったん登校できてもまた行けなくなったり、不登校になったきっかけが取り除かれていなければお子さんの心がまた傷ついてしまうかもしれません。

保護者

でも、保護者としては中学校にはきちんと通ってほしいと思ってしまいます。学校に行かせる努力をするのが、保護者の責任という気もしますが…。

保護者

保護者の方がお子さんをどうやって学校に行かせようかと考えるのは自然でしょうね。

教室長

そうですね。では逆にお子さんの心の中を想像してみるとどうでしょう。教室や部活動の場などに不安があって学校に行けなくなってしまった不登校のお子さんが、家庭でも「学校へ行きなさい!」と強要されてしまったらどんな気持ちになると思いますか?

保護者

「学校にも居場所がないのに、家にも居場所がない」という気持ちになってしまいそうですね。

保護者

「だれも自分の気持ちを分かってくれない」と思うかもしれません。

保護者

保護者が無理に学校に行かせようとすればするほど、お子さんは追い詰められてしまうんですね。

大切なのはお子さんが安心できる家庭であるかどうかを見直すこと

保護者

「学校には毎日絶対に行かなければならない」という常識や世間体といった部分からいったん離れないと、保護者がお子さんを精神的に追い詰めてしまうこともあるんですね。

教室長

そのとおりです。不登校のお子さんは不安やストレスから心身共にダメージが蓄積している状態です。せめて家庭は安心して心身を休ませられる場所であることが大切なのではないでしょうか。

保護者

保護者は具体的にはどうすればいいのでしょうか?

教室長

不登校という状況でも、お子さんをかけがえのない存在として認めてあげてください。

保護者

どういう行動が「認めてあげる」ことにつながるのでしょう?

教室長

「いい学校に進学してほしい」、「こんな職業に就いてほしい」と思わない保護者の方はいらっしゃらないと思います。ただ、その思いが押しつけになってしまうのはよくありません。「あなたのやりたいようにしていいよ」、「そのままで大切な存在なんだよ」と、お子さんを一個人として尊重することが認めてあげることにつながると思います。

保護者

でも、もしうちの子が何日も学校に行けない状況になったら、「どうして学校に行かないの?」と、責めたりしてしまいそうです。

保護者

うちの夫は短気だから「学校に行かないなんて、落ちこぼれだ」、と口を滑らせるかもしれないわ。

保護者

そんなふうに責めたり否定してしまったら、お子さんは家庭でも心を閉ざしてしまうかもしれませんね。

教室長

そうです。保護者の方がありのままのお子さんを受け入れることで、お子さんは愛情を感じ、家庭に安心感を持てるようになるでしょう。

保護者

反対に、不登校の生徒さんの多くは家庭に不安があると聞いたことがあるわ。

教室長

ちょっとした家庭内のすれちがいから、お子さんが不安を抱え自信をなくしていることもありえますね。

保護者

うちの子にとって我が家は安心できる場所になっているかしら?保護者の理想を押しつけすぎていないか、本人の気持ちを尊重できているか、主人とよく話し合ってみようと思います。

教室長

もしお子さんが不登校という状況になったとしても、お子さんとの関わり方や、家族の在り方を見つめなおす機会になるといいですね。

 

 

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不登校をサポートしてくれる教育機関の活用を

保護者

不登校を受け入れるというのは、保護者にしてみるととても勇気がいることですね。

教室長

保護者の方も不安に思われるでしょうが、ありのままのお子さんを受け入れ見守ることが、実は不登校を克服する近道だとも言われているんですよ。

保護者

まずはありのままのお子さんを受け入れること、ですね。でも、もし不登校の状態が長く続いたらと想像すると、自分のイライラや不安を家族にぶつけてしまうこともありそうだわ。

教室長

それもありえますね。そんなときは、不登校のお子さんをもつ保護者の会に参加したり、相談に乗ってくれるカウンセラーを探したりしてみてください。保護者の方も不安を1人で抱え込まないことが大切です。

保護者

不登校の状態が長引くと勉強がどんどん遅れてしまいますよね。そんなときはどうすればいいんでしょうか?

教室長

教室には行けないが学校には行けるというお子さんは、学校に相談すれば別室登校、保健室登校ができる場合もあります。また、教育委員会が開く適応指導教室も不登校の生徒を受け入れてくれます。

保護者

塾や家庭教師は不登校の生徒さんにも対応してくれますか?

教室長

はい。地域によっては不登校のお子さんに配慮してくれる塾や家庭教師もありますから、ぜひ相談してみましょう。個々の事情に配慮しやすいのではないかと、個別指導塾を選ばれる保護者の方も多いそうですよ。ほかにも不登校のお子さんを受け入れてくれる民間のフリースクールなどもあります。

保護者

「勉強しなさい」と押しつけるのは、やっぱりよくないんですよね。

保護者

そうですね。「こういう場所で勉強することもできるよ」と伝えて、あとはお子さんにまかせるのがいいかもしれません。

教室長

やはり見守る姿勢が大切だと思います。ひと口に不登校と言っても、お子さんの心身の状態はさまざまです。保護者の方は過度にお子さんに口を出すことは避け、お子さんの言動や行動を見守ることで、機会を逃さずサポートできるように準備してあげるのがよいのではないかと思います。

(※)参照: 平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/10/__icsFiles/afieldfile/
2016/10/27/1378692_001.pdf