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「大学入学共通テスト」がいよいよスタート! 新大学入試に対応するために必要な力とは? ~東京個別指導学院の進路指導センターに最新情報を聞いた!①~


高大接続改革と呼ばれる今回の教育改革では、大学、大学入試、高校を含む中等教育の見直しが行われてきました。
この教育改革によって、お子さんがこれから受ける教育は、センター試験を受験していた保護者の皆さんの状況から大幅に変更されます。
今後は教育改革に関する情報を敏感に取り入れておかないと、大学入試対策に出遅れてしまうでしょう。

今回は東京個別指導学院の石川満さん、寺田拓司さんに、センター試験に代わって2021年1月から始まる「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)から予想される出題内容を中心に、大学入試の最新情報を聞いてきました!

教育改革の社会的背景のキーワードは「少子高齢化」「グローバル化」「IT化」

――センター試験に代わり、2021年1月から新テスト「大学入学共通テスト」が始まります。大学入試を中心とした日本教育の大改革に関心が高まっていますが、まずは一連の教育改革が行われることになった背景を教えていただけますか?

石川さん:これからの時代は、社会の在り方が大きく変化していくことが予想されています。この社会的変化は、教育改革の実施に少なからず影響しています。
特に教育改革に関係する社会的変化としては、「①少子高齢化」「②globalization(グローバリゼーション、グローバル化)」「③AI/ITの発達」の3つのテーマが挙げられます。

寺田さん:それぞれのテーマを数値で表してみました。以下の数値から、どのような変化が起こるのか詳しく見てみましょう。


寺田さん:まず、少子高齢化の「1:1」は、現在の中学生が働き盛りを迎える2050年ころの生産年齢人口と高齢者の比率を表しています。
生産年齢人口とは、経済的な生産活動に就くことができる年齢の人口のことですね。

今から約50年前は、働き手9人で高齢者1人を支えていました。生産年齢人口は減少し続け、現在の中学校3年生のお子さたちが働き盛りになる2050年ころには、働き手1人に対して高齢者1人を支える社会になると予想されています(※1)。

石川さん:一方で平均寿命が延びることも指摘されています。安倍総理を中心にして開かれた「第1回 人生100年時代構想会議」では、現在2007年生まれの子どもたちの平均寿命は107歳になると予想された資料が配られています。(※2)

――平均寿命で107歳ですか! 仮に60歳で定年を迎えたとしたら、働いた期間よりも余生の方が長いことになりますね。

寺田さん:そうなんです。今までは20歳前後からすぐに働き始め、60歳くらいまで働き、余生を送るのが主流でした。
しかし100歳以上生きる人が多くなるこれからの時代は、定年退職する年齢がますます延び、歳を重ねても働く人が増えてくるでしょう。

そうなった場合、20歳くらいまでに身につけた知識やスキルだけで生きていくのは難しくなります。
ですから、歳を重ねても学び続ける人、あるいは中高年になってから大学に入って勉強しなおす人が増えてくるでしょう。

――現在のライフスタイルとは大きく変わるんですね。人生の選択肢が広がりそうです。では、globalizationについてはいかがでしょう。

寺田さん:globalizationの「58%」は、日本の企業の58%が2018年度に外国人留学生を採用する見込みを表していたという調査結果です(※3)。

今までは国際化というと、英語が得意な人が海外に進出する印象が強かったと思います。
しかし、今後は日本にいながら外国をルーツとする人たちと一緒に働くことが当たり前の社会になっていくと考えられます。

石川さん:実際、日本国内でも、社内公用語が英語という企業や、日本で働く外国人も増えてきています。外国をルーツとする子どもたちが日本の学校に通うケースも、多く見られますね。

――確かに私たちが子どもの頃より、外国をルーツとする人はグッと身近になった印象です。「AI」や「IT化」という言葉も、テレビのニュースなどでよく聞くようになりました。

寺田さん:はい。とある研究結果(※4)では、将来、アメリカの雇用者の約47%の仕事がコンピューター技術によって自動化されるリスクがあると指摘されています。
現在のお子さまたちが社会に出るころには、今ある職業の半分はAIなどに代替され、また現在は存在しない新しい職業に就く人が出てくる。

よって、新しい仕事に対応できる人材、あるいはAIに代替されない仕事ができる人材の育成が求められています。

石川さん:このように変化の激しい社会で生き抜くことができる人材を育てるために、教育も変わらなければいけない。これが、今回の教育改革が行われることになった背景となります。

これからの時代は「アウトプットする力」を身につけることが特に重要


――今回の改革は「高大接続改革」と言われていますが、「高大接続改革」とはどういう意味でしょうか? どのような経緯で、実施されることが決まったのでしょうか。

石川さん:今回、文部科学省は大学入試を中心に改革を進めています。「高大接続改革」という言い方には、大学入試を変えることによって高校や大学の教育も変えようという意図が込められているんですね。

ですから大学入試が新しくなるほかに、大学の教育の見直しや、初等中等教育の学習指導要領の改訂なども合わせて行われます。

寺田さん:現状、どんなに大切なスキルでも入試で問われないようであれば、普通の子どもたちは入試で問われる他の部分を優先して学ぶでしょう。
入試で問われないものを学習する優先順位は、どうしたって下がってしまうんです。

たとえば「使える英語力」の育成は昔から指摘されていて、以前からいろいろな取り組みがされてきました。しかし、多くの日本人が英語を話せるようになりませんでした。

それはなぜか。入試が変わらないことが原因のひとつだったと考えられます。そんな現状を、今回の教育改革で改善しようとしているのです。

――生活や仕事などで必要に迫られないと、何事もなかなか身につきませんよね。では教育制度改革(高大接続改革)後、子どもたちが身につけるべき能力とはどんなものですか?

石川さん:文部科学省は育成すべき資質・能力の三つの柱として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」を上げています(※5)。
下の図のようなピラミッドで考えるとイメージしやすいと思います。

 
(上図は編集部が文部科学省の資料をもとに独自作成)

寺田さん:これまで学校の勉強では、いわゆる英数国理社の「知識・技能」をインプットすることが重視されてきました。
今回注目したいのは、アウトプットする力です。「思考力・判断力・表現力」とは、自分で考えて判断し、それを他者に伝える力です。

また「学びに向かう力・人間性」は、自分で物事を進める力や、他者との違いを受け入れる力とも言えます。
多様な背景を持つ人との違いを受け入れつつ一緒に働くために、自分の考えを表現したり、自分で物事を進めたりできる力が新しい時代では必要なのです。

石川さん:大学に入ってから、あるいは社会に出てからも、「思考力・判断力・表現力」は企画を立てプレゼンする力や論文を書く力として活用できますし、「学びに向かう力・人間性」はプロジェクトや研究を進める力に直結します。

しかし、アウトプットする力を発揮するためには基礎となる知識・技能も変わらず重要です。
ですので、新しい時代に育成すべき資質・能力として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」が三つの柱として挙げられているのです。

――ひたすら暗記することを求められてきた、私たち保護者の学生時代とは大きく変わってくるんですね。 

大学入試は大きく変わる!? 「大学共通入学テスト」改革のポイント


――今回の教育改革の中心となるのは大学入試改革とのことですが、大学入試はどのように変わるのでしょうか?

寺田さん: 最も大きな変化は、2020年1月でセンター試験が最終回となり、2021年1月から「大学入学共通テスト」が始まることです。

ただし2021年から2024年は本格的な改革の途中の改革なので、この期間に受験することになる2019年度の高校2年生から中学2年生までは、第一弾の改革の学年と言えます。

今回は、この第一弾の大学入試改革についてお話します。大学入試がどのように変わるのか、ポイントは以下のとおりです。

・大学入試センター試験が廃止となり、大学共通入学テストが始まる
・そこでは「知識・技能」に加え「思考力・判断力・表現力」が問われる
・国語と数学で「記述式」の問題が出題される
・英語は4技能を問う。また外部の資格検定試験を活用する大学が現在以上に増える
・各大学の個別選抜で「多面的・総合的評価」を導入する大学が増える

石川さん:従来の大学入試センター試験では、「知識・技能」を中心に問われてきました。
新しく始まる大学入学共通テストでは「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力」も問われることになりました(※6)。

センター試験はすべてマーク式の回答方式でしたが、新テストでは「思考力・判断力・表現力」を問うために、国語と数学Ⅰ(A)で記述式の問題が一部導入されます。
なお記述式の問題については、2024年度以降は国語と数学以外の科目でも導入が検討されています。

寺田さん:また英語力の育成も重視されているため、英語の試験も大きく変わります。
これまでは筆記とリスニング、つまり「読む」「聞く」の2技能が問われましたが、今後は「話す」「書く」を加えた4技能が問われることになります。

当面は、共通テストではリーディングとリスニングの問題が作成され、4技能は外部の資格検定試験を活用して評価する方向になります。

※新学習指導要領での英語の扱いも含む英語改革について、詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。

――記述式の解答方式にも慣れる必要があるんですね。数学にも記述式の問題が出題されるのが、気になります。この最後に書いてある、新しい大学入試で取り入れられる「多面的・総合的評価」とはどういうことですか?

石川さん:今までは一般入試では入試の点数を中心に、推薦・AO入試では書類審査や面接を中心に評価されてきました。
しかしこれでは受験生の能力が一面的にしか測れないということで、どの入試方式でも多面的・総合的な評価をしていこうという取り組みが始まっています。

――具体的には、一般入試、推薦・AO入試がそれぞれどのように変わるのか教えてください。

寺田さん:まず推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」に名称が変わります。
これまでの推薦入試では、調査書の評定平均と面接や小論文で評価されていました。

またAO入試は、高校での部活動や生徒会の活動をアピールするエントリーシートと面接を中心に評価され、学科試験は原則課さない入試でした。
つまりAO・推薦入試では、「知識・技能」の部分はあまり問われなかった。

しかしこれからはこれらの入試では、小論文、プレゼンテーション、教科・科目に係るテスト、共通テストなどのうちいずれかを活用して、何らかの形で学力を問うことになります。

石川さん:これまでの一般入試も「一般選抜」と名称が変わります。
現行の一般入試では学校の調査書を大学に提出していましたが、合否判定には使用しない場合が多かったです。

しかし、今後は重視されてきます。たとえば、調査書に記載される高校での活動記録の欄が拡充されるほか、受験生が記入して出願時に提出する活動記録や志望理由書などの書類も、各大学から求められることが増えます。

提出する書類は大学によって大きく違いますので、各大学のアドミッションポリシーや募集要項なども含めてよく確認しましょう。

――今後は学校の調査書も、受験にとても影響するんですね。大学入学共通テストの記述問題では点数ではなく、段階別評価になると聞いたのですが?

寺田さん:大学入学共通テストの国語の記述問題については、A~Eの5段階での段階的な評価が導入されます。
高大接続改革の議論の中で、従来の「一点刻み入試」からの脱却ということが言われてきましたが、その一例だということです。

ここでは、横浜国立大学の国語記述問題の扱いを見てみましょう。

(『2021年度横浜国立大学入学者選抜の変更について』をもとに編集部で作成)


寺田さん:記述問題のA~Eの段階別成績から、マークシートの得点に上の割合をかけた点数を国語の配点にプラスするとしています。このパーセンテージは一例で、大学や学部の方針によってそれぞれ違います。

――いずれにしても、各大学の情報を集めることが大事なんですね。それでは後半では、試行調査(プレテスト)からわかる具体的な出題傾向や、その対策方法などを伺います。


>>後半の記事はコチラから!<<

[参照元]
(※1) 総務省|平成29年版 情報通信白書|人口減少社会の課題と将来推計
(※2) 内閣官房/第1回人生100年時代構想会議
(※3) 「留学生・高度外国人材の受け入れの実態と課題」2018年1月29日 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業部 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ(2017)「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」
(※4) 「AIと共存する未来~AI時代の人材~」野村総合研究所 コンサルティング事業部 未来創発センター2030年研究室 オックスフォード大学 マイケルA.オズボーン准教授の計算(2015)
(※5) 高大接続改革の動向について 平成29年1月31日 文部科学省 高大接続改革PT P11
(※6) 大学入学共通テスト実施方針策定にあたっての考え方 文部科学省

[プロフィール]

石川 満(いしかわ みつる)

東京個別指導学院 進路指導センター センター長。大学・大学院在学時に塾の講師を勤めた経験から教育の道に進む。2006年東京個別指導学院入社。以来10年以上に渡って教務を担当し、教育の情報収集・調査を続けながら、指導法の開発や講師の指導にあたっている。

寺田 拓司(てらだ ひろし)
教育業界に携わり30余年。何千人もの子どもたちや保護者に学習・進路相談を行う。現在は東京個別指導学院 進路指導センター 個別指導総合研究所にて同学院のブレインとして活動。文部科学省・各学校に足を運び、様々な情報を収集し教室現場への発信・教育を行っている。

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