塾のかけもちのメリットとデメリット

塾のかけもちのメリットとデメリット

「複数の塾をかけもちしたほうが成績につながる?」「塾をかけもちするときのポイントは?」今回は、このような疑問から、塾をかけもちすることのメリットとデメリットにはどのようなことが挙げられるのかみていきましょう。

実はけっこう多い!?複数の塾のかけもち受講

うちの子の話を聞くと、塾をかけもちしているクラスメイトが結構いるみたいです。かけもちしたほうが成績アップするのでしょうか?

塾のかけもちのことを教育業界では「併塾」といいます。特に中学受験では塾のかけもちは昔からとられてきた受験対策法です。高校受験や大学受験でも、都市部を中心として塾のかけもちをする生徒さんは少なからずいるようですね。

なるほど、でも複数の塾に通うなんて、大変ではないですか?

確かに心配な面もありますが、私が以前読んだ資料の中では、文部科学省による興味深い調査結果が紹介されていました。すこし古い資料になりますが、『子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告(平成20年8月)』(※)によると、学校外で学習活動をしている生徒さんの割合は、中学生で7~8割ということです。そのうち、複数の活動をしている割合は、3~4割でした。ここでいう学習活動とは、「塾、家庭教師、通信添削、習い事」を指していて、塾のかけもちとは限らないのですが、複数の学習活動を組み合わせている生徒さんは少なくないと推察できます。

スポーツや音楽・芸術活動などの習い事とも含めて3~4割ということだけど、併塾は特別に熱心に勉強するお子さんや一部の中学受験生だけというわけではなさそうね。

そのとおりです。

ひとむかし前でも、思ったより多くのお子さんが塾や習い事をたくさんやっていたんですね。やはり併塾したほうがそれだけ成績も上がるんでしょうか?

一概にそうとは言えません。併塾で伸びるお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。たとえば、「1つの塾に通ってみてなかなか成績が上がらないから、同時に別の塾も始めてみる」といったかたちでは結果につながりにくいですね。

なるほど。「本人が楽しそうに通っているからOK」「2つ通わせておけば安心」ではなく、どのような狙いで塾のかけもちをするのか、そしてそれはうまくいっているのか、しっかり見極めなくてはならないんですね。

はい。併塾しているご家庭は、本当に効果的な併塾になっているかをいま一度見直してみるとよいでしょう。

効果的な併塾で万全の受験対策も可能に

では、上手な併塾のしかたにはどんなものがありますか?

集団指導塾と個別指導塾を併塾しているパターンは大きく分けて3つあります。1つは、「集団指導塾で習った学習内容を、個別指導塾などでカバーし、さらに理解度を深めていく」ものです。集団指導塾では授業の進度が早いので、授業を休んでしまったり、理解に時間がかかったりしても次に進んでしまいます。そこで、個別指導塾で理解不足のところを補強するのです。中学受験の場合は、大手の塾の指導内容に準拠した補習塾なども存在します。

なるほど。集団指導塾での学習内容を、もう1つの塾を受講することでさらに理解を深めていく考え方ですね。

2つ目は、「集団指導塾で得意科目の受験対策を進めていき、個別指導塾で苦手科目の対策を行う」ものです。

確かに、苦手科目の克服は大勢の生徒さんが一緒に授業を受ける集団指導塾では難しいかもしれないわね。

得意科目は集団指導塾でどんどん難しい問題にチャレンジしていき、苦手科目はマンツーマンでていねいに実力をつけていくというやり方は、受験対策には非常に効率的です。そして3つ目は「集団指導塾や映像授業などで知識の理解を中心に進め、個別指導で問題を解くトレーニングを行う」というものです。特に英文解釈や数学、国語の記述問題などの力だけを効率よくつけていきたい場合にはとても有効な方法です。

集団指導塾と個別指導塾、それぞれの持ち味を生かして併塾するといい結果につながりそうですね。

そうですね。集団指導塾や最近増えている映像教材は、知識のインプットに向いています。それに対して、個別指導塾は知識のアウトプットに重点をおいています。

うちの子は学校の授業も真面目に受けていて、知識もあるはずなのに、点数にうまく結びつかないのが悩みです。今、マスターのお話を聞いていて、知識のアウトプットができていないのかもしれないと思いました。

そういうお子さんのために、個別指導塾があるといっても過言ではありません。また、苦手科目がある場合は、それに特化した授業を組めるのも個別指導塾の強みです。

先生に相談や質問をしやすいのも、個別指導塾ならではのうれしいポイントだというわね。

本当に併塾がよいかの見極めも大切!

併塾するときに気をつけたほうがいいポイントはありますか?

まずは勉強とそれ以外のバランスをしっかり考えましょう。勉強時間が多くなると、「友だちと遊ぶ」「家族と話す」といった経験が不足してしまうかもしれません。今、高校入試では「実生活に根ざした学習・学力」も重視されています。

勉強や部活動ばかりやっているのも考えものということね。

そうですね。勉強や部活動に精一杯取り組むのも大切ですが、それ以外にどれだけ多くの体験をしているか、実際に自分の手を動かしているかといった部分がものを言う場面も出てきます。

それに勉強の効率を上げるためにも、リフレッシュは大切よね。

併塾する際には部活動との関係やこれまで続けてきた習い事のことなど、時間の使い方をもう一度整理して立ち止まってみることも大切といえるでしょう。

おっしゃるとおり、勉強とその他のことのバランスも意識したいですね。

2つ目に、学校の授業をおろそかにしないことも大切です。公立高校の入試問題では、教科書、つまり学校で習った内容が入試で出題されます。また、内申点は学校生活が反映されます。塾を選ぶということは、どういう学校生活を送るかの裏返しでもありますので、こういった部分も併塾を始める際にはじっくり考えてみましょう。

はい。学校という土台があっての塾ということは意識させたいポイントですね。

そして3つ目が、保護者の経済的な負担です。お子さんの実力アップにつながる併塾ならよいですが、「友だちが通っているから」「以前から通っている塾はやめにくいから」「有名な塾だから」などの理由で続けているなら、本当にその塾が必要かどうか考えてみてください。いくら伝統のある有名な塾であっても、お子さんの性格や目指すところによっては最適な塾とはかぎりません。もし併塾がうまく行かない、あるいは併塾の負担が重そうということであれば、思い切ってお子さんにとってもっとも優先順位の高い塾に一本化することを考えてみてもよいでしょう。1つの塾で受講回数を増やすと、その分だけ1回当たりの授業料が安くなるメリットも見逃せません。

(※)参照:文部科学省、「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」、2009年
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/08/__icsFiles/afieldfile/2009/03/23/1196664.pdf