いま、問題となっている教育格差とは

保護者

この前高校時代の同級生と久々に会ってお茶をしていたんだけど、子どもが0歳から22歳になるまでの養育費はいくらくらいかかるかって話になったんです。

保護者

22歳までというと、大学を卒業するまでの期間よね。どれくらいかかるのか、あまりイメージがつかないわ。 

保護者

いろんな計算の仕方があるみたいなのですが、2005年の時点で1人当たり1,640万円(*)という試算があるそうです。これはあくまで養育費で、教育費を別にした金額だから、本当に大変なものです。

保護者

そうね。うちの子はもう大学生だから、だいたい目途が立ったけど、ちょっと出費が重なって大変だったこともあったわね。まあ、楽しいことばかりでは済ませられないわ。

保護者

確かにそうですね。

教室長

子育てや教育というと、どこかお金に関係しない聖域のような言われ方もしますし、教育業界は一般に景気の影響を受けにくい業界ともいわれます。しかし、一方でエンゲル係数ならぬ、エンジェル係数(家計のうちで子どもに関連する支出の割合)という言葉もあるほどで、経済的な面も無視できるものではありません。 

保護者

なんかそう言われると、ドキッとしますね。

保護者

そういえば、雑誌や新聞などでも、教育格差なんて言葉も目にするわね。せっかくの機会だし、いろいろと教育格差について教えてください。

教室長

わかりました。教育格差といっても、実にさまざまなものがあります。

保護者

格差と聞くと、まず家庭の所得とか、年収のことが思い浮かびますよね。

保護者

お金のこともそうですが、教育に対する意識の部分ではないですか。私のまわりでも、有名私立中学や高校にお子さんを入れようとしている人がたくさんいます。

保護者

教室長が指摘したいのは、もっと別な切り口じゃないかしら。

教室長

もちろん、お金の面も大きいのですが、保護者の社会や仕事との向き合い方は子どもの人格形成に大きな影響を持ちますし、ご家庭の雰囲気なども重要です。朝食をしっかり食べるといった、健康的な生活習慣を身につけられているかもその1つと言えるでしょう。広い意味での家庭の状態が教育格差を語る上でまず前提となってきます。

保護者

確かにきちんとした親の姿を見て育ったお子さんであれば、自然とよい影響が出てきそうですね。

保護者

そんな家庭であれば、きっと子どもも安心して勉強ができるわね。

教室長

そうなのです。お子さんが安心して勉強したり、スポーツに励んだりできる家庭環境が実は教育の上でとても重要なのです。私が高校時代に思いっきり陸上部と勉強に専念できたのも、やはり私の親のおかげです。当時は「当たり前」だと思っていましたが、その「当たり前」の中に見えない家庭の力がつねに働いていたわけです。

 

 

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地域による教育格差も大きい

保護者

住んでいる地域によっても教育格差は大きいと聞いたわ。

保護者

確かに都市部と郊外では、学校の数が違うし、いろいろと差も出てきそうね。

保護者

都市部と郊外でも差がありそうだけど、東京23区内でもいろいろと差があるみたいですよね。

教室長

実際に同じ23区内でも、子育てのしやすい街と、子育てのしにくい街というのは存在しますね。交通の便利な場所で大人にとって快適な場所であっても、小さな子どもが遊ぶ場所の少ない街ということもあります。子どもがまだ小さいうちはドラッグストアや薬局が家の近くにあるかも意外に大きな問題ですし、子どもの医療費助成も自治体によって異なります。

保護者

そうやって考えると、教育格差にもいろいろとあるわね。

保護者

私もこの街に引っ越してくるときは、私立中高一貫校に通いやすいかどうかを考慮に入れました。

保護者

すごいわね。そこまで考えたのね。

教室長

いや、そのように考えるのは珍しいことではありませんよ。ほかに公立の小学校や中学校は選択制になっているかどうかなど、地域の学校教育事情なども考慮に入れて住む場所を考える方もいるそうです。

保護者

確かに私立中高一貫校もいろいろとメリットが多そうだけど、地元にどんな小学校や中学校があるのかも気になるわね。 

教室長

もちろん子育てしやすい街や教育が充実した街を探すことも1つですが、今住んでいる場所の地域特性をよく理解して、「子育て行政」の中で使える制度はしっかり活用していくことも大切です。たとえば、ご家庭の収入状況にもよりますが、大阪市をはじめ塾通いのための助成金を出している自治体もあります。こうした子どものために活用できそうな制度はしっかりとチェックしておきたいですね。

意外に相談しにくい教育格差の話題

教室長

さきほどの同窓会ではどんな方向に話が進みましたか。

保護者

それがあまり話が進まずに、なんとなく別の話題になってしまいました。学園祭や修学旅行のときの思い出話で盛り上がりました。

保護者

やっぱりね。

保護者

「やっぱり」なんですか。

保護者

なんか、そんな気がしたのよ。単に子育ての話だったら、いろいろと話も尽きないでしょうけど、お金の話とかになると、同窓会のような場所では、話しづらいんじゃないかしら。

保護者

たしかにそうかもしれませんね。

教室長

鋭いですね。政治の話などもそうですが、一般に世帯年収の話と、子どもの成績の話は気を付けたほうがよいテーマの1つでしょう。私もほんの少しだけ気になっていました。

保護者

そういうことだったんですね。家庭の事情によって、塾に行かせてあげられない場合もありますものね。でも、こういう話って、いざという時は誰に相談すればいいのかしらね。

教室長

やはり家族など一番身近な人と相談することが重要ですが、その上で第三者的な立場からも意見をもらえるとよいでしょう。たとえば、信頼のできる学校の先生や塾の教室長や教務担当者などの学習のプロの意見を聞くのがきわめて有効だと思います。個別指導塾は地域密着がウリですから、地域の「子育て行政」について相談してもよいかもしれません。

保護者

つねにたくさんのお子さんを見ている学校や塾の先生方であれば、何か困難に直面しても、よい解決方法を提案してくれる可能性は高いですね。

教室長

教育とお金は切っても切れない関係にあります。学校や塾の先生ならば、教育にどれくらいお金がかかるものかといったことを熟知していますし、教育格差にもけっこう敏感です。教育格差には、経済面、地域面、時代的状況など、さまざまなものがありますが、いろいろな制約の中にあっても、きっとお子さんのためになるべく充実した学習環境を用意する知恵をしぼってくれると思いますよ。

(*)ベネッセ教育情報サイト、「【保存版】子育てにかかる費用のすべてを解説します」2015年
http://benesse.jp/kosodate/201509/20150910-2.html