偏差値=受験者全体の平均との差

保護者

学力テストや模擬試験で、偏差値ってありますよね。あれって、どういう意味なんでしょうか。学校ごとの受かりやすさ(受かりにくさ)を表しているのかしら?

教室長

偏差値を受かりやすさ(受かりにくさ)の基準として利用する分にはよいと思うのですが、それが偏差値の定義というわけではありません。偏差値というのは、正しくは受験者全体の平均を「偏差値50」とした場合の自分の位置を示したものです。偏差値50より上になるほど受験したグループの中では上位にいることになります。

保護者

どうして偏差値が必要なんですか?

教室長

たとえば、平均点が40点のテストで100点を取れば「優れている」と言えますが、平均点が90点のテストで100点を取っても優れているかどうかはわかりませんよね? 

保護者

それはそうですね。きっと100点の生徒さんはたくさんいますものね。

教室長

ええ。テストの平均点だけでは受験したグループの中で自分がどの位置にいるのかまではわからないので、偏差値という「ものさし」を使います。偏差値は65以上は全体の7%、55~65は全体の14%というように割合が決まっています。

偏差値は受ける試験によって変化する

保護者

うちの娘はテストによって偏差値のよい時と悪い時があるんですが、それはどうしてでしょう。学力そのものには、そんなに波があるとも思えないんですが。

教室長

偏差値は受験したメンバーやテストの種類・質によって大きく変わるんですよ。模擬試験ごとに示される「合格可能性判定」も変わってきます。たとえば、都道府県統一の模擬試験と、全国統一の模擬試験とでは受験するメンバーが大きく異なります。すると、都道府県統一で偏差値60でも、全国統一だと数ポイントくらい前後してしまうこともあるのです。単に数値が高い・低いということを見て一喜一憂するのではなく、「どういうメンバーが受けているか」を見ることが大事ですよ。

保護者

わかりました。 どんな集団の中で偏差値を出すかが大事なのですね。

倍率=競争率!値が高いほど不合格者が増える

保護者

入試倍率についてもお聞きしたいんですが、倍率は低ければ合格しやすい、高ければ合格しにくいっていう理解で大丈夫ですか?

教室長

基本的にはそういうことです。まず、定員40名のところに80名が受験すると倍率は2倍、30名しかいなければ倍率は0.75倍になります。倍率が高ければ不合格者が多くなるので、合格するのが難しくなるというのは正しいです。しかし、倍率が低いからといって合格しやすいとは言い切れません。倍率が1倍以下(定員割れ)でも、学校が設けている合格基準に満たない点数なら不合格になるからです。

保護者

定員割れなら、みんな合格できるというわけでもないのですね。

教室長

そうですね。ところで、倍率には3つの種類があることをご存じですか?

保護者

いいえ、知りません。ぜひ教えてください!

教室長

倍率には「応募倍率」「受験倍率」「実質倍率」があります。「応募倍率」は出願を締め切った時点で出される倍率です。応募者数(出願者数)÷募集定員で計算します。どれだけ出願者がいたかを見る指標で、出願した人数が多いと倍率は高くなります。

保護者

 応募倍率は、どういう場面で大事ですか?

教室長

たとえば、合格の自信が半々くらいで出願した高校の応募倍率が高かったとします。それで「合格は難しいかもしれない」という判断になれば、出願を取り下げて別の高校に出願し直す、といったことができます。もちろん、その逆もあります。

保護者

応募倍率が低いのでワンランク上の高校で勝負をしてみる、などでしょうか。つまり、その学校で勝負するかどうかを最終決定する時の参考になるんですね。

教室長

そのとおりです。次に、「受験倍率」は試験当日が終わった時点で出される倍率です。受験者数÷募集定員で計算します。実際に受験した人がどれくらいだったかを見る指標で、受験した人数が少ないと倍率は低くなります。

保護者

出願はしたものの実際には受験しなかった生徒さんがいたり、別の高校に出願し直して受験した生徒さんがいたりで、実際の受験者数には変動がありますものね。それを反映した倍率ですね。

教室長

そうです。そして、「実質倍率」は、合格発表を終えた時点で出される倍率です。受験者数÷合格者数で計算します。受験した人のうち、どれくらいが合格できたかを見る指標で、合格人数が多いと倍率は低くなります。同一偏差値・同一競争率であっても、合格者が多い試験と少ない試験では、一般に合格者数の母数の多い試験のほうが合格のしやすさは上がります。 

保護者

入試の倍率って、思っていたよりも奥が深いですね。うちの子の高校受験はまだ先だけど今年の倍率も見て勉強してみます!

教室長

それはよいですね。同じ学校の同じ学科やコースであっても、倍率の違いで合格のしやすさは異なりますし、この傾向は特に大学受験で顕著です。ぜひこういった部分は学校の進路指導の先生や塾の先生に聞いてみるとよいでしょう。ただ、受験において大切なのは、自分の努力で上げられる学力アップとテストの得点アップです。「最終的には、自分の努力が志望校合格に通じる」ということが大前提ですからね。

保護者

ありがとうございます。必ず伝えます。