「作文きらい」の一番の原因は、書き慣れていないこと

保護者

 この間、うちの子が作文でひどい点数を取ってきちゃった。

保護者

うちの子も作文は苦手です。

保護者

本当にどうしたらよいのかしら。頭が痛いわ。

教室長

どうしたんですか、深刻な顔をなさって。

保護者

うちの子の作文をどうしたらよいのかと悩んでいるんです。

教室長

入試では作文が合否を分けることもあるので、苦手なお子さんは克服しておきたいですね。息子さんは、作文のどういうところが苦手なんですか?

保護者

「何を書けばよいか、わからない」と言うんです…。

教室長

作文ぎらいのお子さんに多い悩みですね。きっと「立派なことを書こう」「上手に書かなければ」と意気込みすぎて、作文のハードルが高くなってしまっているのではないでしょうか。

保護者

でも、やっぱりきちんとしたことを書かないとダメでしょう?

教室長

そんなことはないですよ。そもそも入試の作文は、「文章の流暢さ」とか「考えの立派さや知識の豊富さ」みたいなものを測るための試験ではありません。それよりも、基本的な原稿用紙の使い方や言葉の選び方、誤字や脱字がないか、自分の意見を筋道を立てて文章で伝えられるかを見るためのものです。それと、個性を見るものでもないので、独創的な意見を表明する必要はありません。ですから、必要以上に気負って硬くならなくても大丈夫ですよ。

保護者

うちの子の場合は、「書いているうちに何を言いたいのかわからなくなってしまう」と言うんです。確かに同じことを繰り返したり、話題が突然飛んだりして要領を得ていません。

教室長

文章を筋道立てて書くのが苦手なんですね。次に何を書こうか考えながら書いているために、話があちこちに行ってしまうのでしょう。「何を書いてよいかわからない」という悩みも、「要領よく文章が書けない」という悩みも、結局は作文を書き慣れていないことが一番の原因です。作文は「習うより慣れろ」ですから、まずは練習が大事です。

名文よりも「減点されない文章」を!

保護者

どんな練習をすればよいでしょう?

教室長

実際に課題に沿って書いてみることです。繰り返していくと、文章校正の仕方や時間配分の仕方がわかってきます。それと、基本的な作文のルールをマスターしましょう。作文が苦手なお子さんは、立派な文章で得点をしていくよりも、間違いをなくして減点を防ぐほうが現実的です。

保護者

なるほど。作文の練習でポイントはありますか?

教室長

ポイントは次の5つです。

① 文字遣いや原稿用紙の使い方を正しくする
② 意味の通りのよい文章にする
③ 原稿用紙の9割以上を目指す
④ 出題者の意図に沿った内容であること
⑤ あらかじめ文章の組み立てを考える

順に説明すると、まず①は先ほどお伝えしたことです。字の書き間違いや原稿用紙の使い方の間違いをなくすこと。「基本」を丁寧にやることで、失点を防ぎます。②は、文章が上手でなくても読み手に意味が通じることが大切です。最初から一発で書こうと思わず、書いたら読み直して意味が通るように書き直す習慣をつけましょう。一文を短くすると読みやすい文章になりますので、一文の長さは1~2行くらいを目安にしてください。

保護者

確かに一文、一文を短くしたほうが、意味が明確になりそうね。

保護者

④の出題者の意図に沿うっていうのは難しそう…。

教室長

都道府県ごとに出題パターンがあるので、過去問で練習して慣れておきましょう。あと、⑤の時間配分は試験時間の2割くらいを上限にして、あらかじめどんな組み立てや順番で書くかをメモしてから書き始めましょう。

決まった「型」で書けるように慣れておこう

教室長

出題されやすい作文のパターンについて説明しておきますね。高校入試の作文は、与えられた文章や表・グラフに対して考えやその根拠を述べさせるものが多いです。いわゆる「感想文」ではなく「小論文」ですね。小論文は型にはめやすいので、練習すればスムーズに書けるようになります。

保護者

型どおりに書くことなら、うちの子もできそう。希望が見えてきました!

教室長

大きくわけて「課題作文」と「条件作文」があるのですが、まず「課題作文」は「○○についてどう思いますか、300字以内で書きなさい」「○○についてあなたの意見をまとめなさい」というように、課題を与えられるタイプの作文です。もう1つの「条件作文」は、「2段落構成で、1段落目に自分の意見を、2段落目にその理由を書きなさい」などの条件があるタイプの作文です。条件作文は、提示された条件を忠実に守って書くことを心掛けましょう。

保護者

むかし、学校で「起承転結」と習いましたが、それでよいのでしょうか?

教室長

入試の作文はそれほど字数が多くないので、基本は3段構成です。最初に自分の考えを書きます。つまり、最初に結論を述べておくのです。2つ目に、課題に沿って論を展開したり、具体例を挙げて説明したりします。そして3つ目として結論を書くのですが、この3つの構成を意識しながら、いろいろなテーマの作文を書いて練習してみてください。特に大事なのは最後の部分です。読み手の記憶に留まるように、結論で自分の意見をもう一度しっかり述べましょう。文章全体の最初と最後で同じことに即して反復して論じられると、それだけでまとまった文章となり、印象もグッとよくなります。

保護者

わかりました。息子にアドバイスしてみます。

教室長

あともう1つ言っておくと、作文は採点も大事です。書きっぱなしはいけません。ただ、誤字脱字を見つけたり、要領を得た文章になっているかどうかを判断したりするのは、書いた本人では難しいですから国語の先生や塾の先生にお願いして採点や指導をしてもらうとよいでしょう。

保護者

作文となると、親では難しいこともあるので、塾や学校の先生の力を借りるのもよいかもしれませんね。アドバイス、ありがとうございます!