中学受験のメリット・デメリット

保護者さまは、中学受験にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
時代の変化とともに、中学入試のトレンドも変わってきています。
まずは、中学受験をするメリット・デメリットをそれぞれ3つずつご紹介します。

 

メリット①|お子さまの個性と将来の可能性を伸ばせる

私立中学校や公立中高一貫校には、それぞれの教育理念があります。「個性や自由な発想力を尊重している」や「グローバル教育、ICT教育、探求学習に力を入れている」など、校風も教育方針もバラエティに富んでいます。
また今春からの新型コロナウイルス感染症の対応では、一般的な公立中と私立中とで、大きな差が生まれました。

これらのように、入試制度改革やIT技術の進化への対応、いざというときの対応がどのようにされているかは、お子さまの勉強や将来にも大きく関わります。

各校さまざまな教育理念や各種対応の中から、お子さまの性格や実現したいことに合う学校に入学できれば、お子さまの個性と将来の可能性を伸ばすことができます。

 

メリット②|高校・大学受験の負担が少ない分、のびのびと学習できる

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-1

私立中学校の多くは中高一貫教育を行っています中高一貫校は、大きく3つに分かれます。学習進度が早い学校、探求学習や協働学習に力を入れて学習内容が深い学校、その両方の学校とあるのが特長です。

「早いうちから大学受験の準備をしたい」という理由で中学受験を考える方も多いようです。
私立大学の入学定員厳格化によって、早慶・GMARCH・関関同立など、人気私大の大学入試は難化しました。ですが、系列大学や他大学との提携を行っている私立中であれば、エスカレーター式の内部進学や優遇制度により、その大学へ入学できる可能性も高くなります。
高校受験や大学受験に大きな労力を割かなくて済む分、部活や課外活動など、さまざまな学習に多くの時間を費やすことができ、お子さまの得意な分野を伸ばしたり、新しい発見につなげたりすることができます。

 

メリット③|大学の研究や仕事で必要なスキルが身につく

中学受験は、一般的に小学4年生からはじめるケースが多く、約3年間の長期戦になります。
長く続く受験勉強の中で、ときにはお子さまが困難な状況に立たされることもあるでしょう。そんな困難を一つひとつ乗り越えることで、辛くても逃げずに立ち向かってやり抜く力が身につきます。もっと前向きな点としては、中学受験での経験は大学での研究だけでなく仕事でも役立ちます。
例えば、中学受験では長期目標(志望校)を掲げ、その目標を達成するために中期目標・短期目標におとしこんで、その目標に向かってPDCAサイクルを回していきます。多くの中学受験塾では週単位でサイクルを回しており、自然と大学の研究や仕事で必要なスキルが身につきやすいのです。

 

デメリット①|勉強が嫌いになったり自信をなくしてしまったりすることも

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-2

中学受験には、厳しい現実も待ち構えています。例えば、お子さまの自信喪失のリスクです。
中学入試の内容は、公立小学校で習う内容よりも広く深い内容を求められる学校が多いのです。とりわけ、難関私立中学校の入試では、小学生で勉強していることとはまったく別と言ってもいいほど難しい内容が出題されることもあり、模試の結果をみて、お子さまが自信をなくしてしまうことも考えられます。
また、勉強の進み具合や模試の結果が気になるあまり、保護者さまから思わず「勉強はどうしたの?」「勉強しなさい」と声をかけてしまうのも良いことはありません。百害あって一利なし、です。勉強に対して拒否反応をおこしてしまい、勉強が嫌いになってしまうこともあるからです。

 

デメリット②|保護者さまへの負担が大きい

中学受験において、保護者さまのサポートは不可欠です。中学校の情報集めや説明会への参加に加え、スケジュール管理、プリントの整理、日々の勉強のサポートや塾への送り迎えなど、さまざまな負担が保護者さまにかかります。
共働き世帯の場合は、つきっきりでお子さまのサポートをするのが難しいという場合もあるため、夫婦の役割分担を決めておく必要があります。

 

デメリット③|経済的負担が大きい

中学受験に向けての勉強は、中学受験に対応した進学塾に通って勉強を進めていくケースが一般的です。それに加えて、模試の費用や受験の際の受験料なども含めると、中学受験をしない場合より経済的な負担がかかることは知っておきたいところです。
また、合格できて実際に中学校に通いはじめてからも、入学金や学費などで多くのお金が必要になります。学校によっても異なるものの、1年間に必要な費用は約60万円~130万円(※)になるといわれています。

(※)文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」を参照

 

中学受験する?しない?を考える3つのヒント

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-3

ここまで、中学受験において以下のようなメリット・デメリットがあることをお伝えしました。もう一度おさらいしておきます。

メリット デメリット
① お子さまの個性と将来の可能性を伸ばせる
②早くから大学受験の準備ができるから、のびのびと学習できる
③大学の研究や仕事で必要なスキルが身につく
①勉強が嫌いになったり自信をなくしてしまったりすることも
②保護者さまへの負担が大きい
③経済的負担が大きい

以上を踏まえたうえで、「中学受験をしたほうがよいのか?」という疑問は、3つの視点から考えてみてはいかがでしょうか。

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-4

お子さまの性格やご家庭の教育方針に合わせることが進路選びの基本ですが、それに加えて、お子さまが中学生や高校生、さらには社会人になった時の状況を考えてみると良いのではないかと思います。また、中学受験をすることに、お子さま自身の納得を得ることもとても重要です。

現在、大学入試を筆頭に入試制度改革が進んでおり、IT技術も日々進化を遂げている中、2011年にアメリカの小学校へ入学した子どもたちの65%は大学卒業後、今は存在していない職業に就いているでしょう。さらに今後10~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高いとの予測もあり、保護者さまやお子さまの取り巻く状況はさらに変化します。

このような環境の中で、変化に対して素早く適切な対応を取っている学校、変化に対応できる力をつける教育を行っている学校であれば、お子さまも安心して通学することができるでしょう。
そして、もしその進路に進むために中学受験が必要なのであれば、受験にチャレンジしてみてもよいのではないでしょうか。

 

時期ごとにやっておきたい中学受験の準備(モデルケース)

「中学受験をしたほうが良いのだろうか……?」と思ったとき、気になることの一つが「準備」のことではないかと思います。

仮に中学受験をすると決めた場合、お子さまや保護者さまにはどんな準備が必要になるのか、ここではお子さまの時期ごとに分けて、一般的な例をご紹介します。

 

小学4年生

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-5

中学受験に対応した進学塾では、小学3年生の3学期(2月)から授業が始まります。この時期から塾に通い始めて受験に備えるご家庭もありますが、必ずしもこの時期から通塾を始めなければならない、というわけではありません。とはいえ、集団塾であればカリキュラムが固定されているので、入塾時期が遅れれば、その進度の遅れをカバーするのは基本的にご家庭の役割になり、またお子さまの負担にもなります。

しかし、早いうちから学習を習慣化できれば、学習量が増える小学5年生以降の勉強もスムーズに取り組めるようになります。
「うちの子、もしかしたら受験したほうが良いかも……」とお考えの保護者さまには、家庭や塾での学習を通して、勉強のやり方を身につけておくことをおすすめします。まずは学習習慣をつけ、塾を含めた生活習慣をつけることをおすすめします。次に受験生としての意識と心構えを保護者さまもお子さまも持つようにしましょう。その上で基礎学力をつけることが、小学校3年2月から小学校4年1月までにしておくことです。
毎日30分集中して勉強しているか、が中学受験を具体的に考える1つの目安になります。

また、この4年生の時期に学校説明会や文化祭などの機会を利用して、受験する中学校の情報収集を開始しておくのが良いでしょう。

 

小学5年生~小学6年生夏ごろ

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-6

5年生のテーマは「実力をつける」です。単元学習が進んでいくのが理解不十分な部分や苦手教科が出てくるので、苦手や弱点を作らないことが大切です。もし出てきてしまったら、それを早期につぶしておくようにしましょう。

また、小学6年生夏までのテーマは、単元学習は総復習も終わっている状態にしておくことです。志望校の求める学習範囲・内容についての知識やスキルを身につけておきましょう。

一方で、第一志望校に近い内容の教育を行う学校を、学校見学やWEB説明会を通して探し、志望校を広げて併願校を決めていくことも行っておきましょう。入試情報をはじめ、校風やカリキュラム、特徴的な教育方針などを調べていくと、お子さまが興味を示しそうな学校が見つかります。
もし塾に通うのであれば、面談などの機会を利用して、志望校選びについて塾の先生に尋ねてみることもおすすめです。
中学校の校風や内情まで把握している塾であれば、お子さまに合った中学校を提案してもらえるでしょう。

 

小学6年生秋以降

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小学6年生の秋以降は、入試過去問演習を中心に行います。第一志望校や併願校のものだけでなく、出願する可能性がある学校の過去問も解き、試験本番に備えます。
あわせて、過去問演習で見つかった弱点や抜け漏れを補う学習などを進めていきます。模試を受験し、正答率が高いのに間違えてしまった問題を見直して、なぜ間違えたのか原因を分析して、二度と間違えないようにするための対策を行います。

この時期は本番直前ということで、勉強に熱が入って夜遅くまで勉強してしまいがちですが、不規則な生活が続くと体調に影響を与える可能性もあります。メリハリをつけ、なるべく規則正しい生活を心がけましょう。食事管理や睡眠時間管理など、健康管理は保護者さまのお仕事になります。

また、「受験本番が近づいてきているのに偏差値が上がらない……」と、なかなか結果が出ないことに、お子さまだけでなく保護者さまも不安になってしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、不安な気持ちを塾の先生に相談してみると、気持ちが楽になるでしょう。
受験直前の学習の仕方や過ごし方についてなど、試験本番を万全の状態で迎えられるようにアドバイスしてくれる塾もあります。

 

お子さまの可能性を広げるための選択を

中学受験のメリット・デメリットとは?時期ごとにやっておきたい準備-8

この記事では、お子さまの中学受験のことが気になっている保護者さまに向けて、中学受験のメリットやデメリット、必要になる準備をお伝えしてきました。

中学受験をするなら、まずは「将来子どもにどんな大人になってほしいと思うか」のイメージをつかんで言語化してみることが大切です。次に、そのような大人になってもらうために必要な教育を中学から受けさせたいのか、高校から受けさせたいのかを考えてみてください。

保護者さまの思いだけで中学受験のために気軽に塾へ入れてしまうと、本当にお子さまをつぶしてしまうことになりかねません。それは高校・大学時代にまで影響を及ぼしてしまいます。

中学受験へ踏みきるには、まず保護者さまの覚悟が必要です。
なかには、中学受験をするかどうか相談に乗ってもらえる塾もあります。中学受験が視野に入ってきたら、お子さまと一緒に、ぜひ一度相談してみるといいかもしれません。

 

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