【見本あり】「情報Ⅰ」の共通テストにはどんな問題が出るの?

2022年11月、大学入試センターから、2025年1月実施の大学入学共通テストで出題される問題のイメージ(試作問題)が発表されました。
まだの方は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。

この記事では、「情報Ⅰ」の共通テストでどんな出題が予定されているのかを、出題イメージに解説をくわえてご紹介していきます。

ぜひ参考にしてみてください。

 

 旧課程にも配慮した2科目を用意

情報の教科では、2種類の科目が出題される予定になっています。

● 情報Ⅰ…………2022年度以降に高校1年生になる方向け(新課程)
● 旧情報(仮)…2021年度までに高校1年生になった方向け(旧課程)

共通テストを受ける方のなかには、高校で「情報Ⅰ」を学習していない方(高卒生)もいます。
そんな方に配慮した教科が「旧情報(仮)」です。旧課程「社会と情報」・「情報の科学」から出題されます。
「情報Ⅰ」と「旧情報(仮)」、どちらも試験時間は60分・100点満点です。

では次から、「情報Ⅰ」の共通テストでの出題イメージをいくつかご紹介します。
※問題の全文と正解は、大学入試センターの公式ホームページで公開されています。

 

「リテラシー」が必要な問題が多い

まずは、試験問題のはじめにある小問集合の出題イメージを見てみましょう。

(令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』より。大学入試センターの許諾を得て転載)

第1問では4つの小問が出ており、どれも問題文が長めなのが特徴です。
大学入学共通テストの全体的な傾向なのですが、「情報Ⅰ」も問題の前提や状況を説明するための文量が多くなっています。
時間制限があるなかで、問題文から要点をつかみ解答する力が求められています。

もう一つ、第1問の小問をご紹介します。

(令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』より。大学入試センターの許諾を得て転載)

 

情報を整理し表現する方法について問われていますが、問題文をていねいに読んで正しい答えを選ぶ問題です。
問題文・図表・グラフ等を読み、意味を理解したり、必要な情報を取り出して比較し関連づけて整理したり、解釈した内容を知識・経験に結びつけて再構築したりする「リテラシー」が求められています。

つづいて、文化祭の模擬店での客の待ち時間を題材に、分析やシミュレーションをしていく問題(第2問B)を見てみましょう。

(令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』より。大学入試センターの許諾を得て転載)

モデル化とシミュレーションについて問われている問題で、問題文と資料を素早く読み取って、どんなモデルを作ってシミュレーションしていくかを考える必要があります。

学校の授業でモデル化とシミュレーションの実習をしたことがある方にはイメージしやすい問題でした。ふだんの授業での取り組みが大切であるという意図が見えてきます。
この問題でも「リテラシー」が問われています。

 

プログラミング・コーディングもマーク式で出題

共通テストの「情報Ⅰ」では、プログラミング問題も出題される予定です。
出題イメージ(第3問 問2)を見てみましょう。

(令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』より。大学入試センターの許諾を得て転載)

プログラムのコードは、右ページのような日本語まじりのプログラム言語(DNCL:共通テスト手順記述標準言語)で書かれています。
プログラムの空欄に当てはまる内容を選んで、正しいプログラムを完成させていく形式です。

共通テストの試作問題では、「情報Ⅰ」の4つの単元のうち「コンピュータとプログラミング」から46点分の問題が出題されました。
試験は100点満点なので、全体の半分近くがこの単元から出題されていることになります。

だからといって、プログラミングが完ぺきにできなければいけないかというと、そんなことはありません。
コーディングする力よりも、プログラムを読み解く力(「リテラシー」)や、論理的に課題を解決するための手段・方法(アルゴリズム)を組み立てていく力が求められているのです。

 

プログラミング以外のスキルも重要視されている

共通テストの出題イメージ(試作問題)を見る限り、プログラミングの問題も出題されてはいるものの、コーディングする力のみが問われているわけではありません。コーディングに関する問題は、20点分に過ぎないのです。
それよりも、リテラシーを問いたい……という意図が試作問題から見えています。

さらに、第4問のように数学の「データの活用」の学習内容に寄った出題になっているのも特徴です。

(令和7年度大学入学共通テスト 試作問題『情報Ⅰ』より。大学入試センターの許諾を得て転載)

情報だけでなく数学の学習も進めることが、共通テストの「情報Ⅰ」で高得点を取る秘訣といえます。

 

一般選抜で「情報Ⅰ」が出題される大学は?

前半では、新科目「情報Ⅰ」が大学入学共通テストでどのように出題されるか、出題イメージも交えてご紹介しました。

各大学の入試のうち、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜以外の「一般選抜」で、「情報Ⅰ」が出題される大学はあるのでしょうか?
2025年度の入試情報はまだ全てが出揃っているわけではありませんが、現時点でわかっている情報をお伝えしていきます。(2022年12月時点・東京個別指導学院調べ)

※なお、現時点で情報科目「情報Ⅱ」の出題を予定している主な大学は慶應義塾大学の一部の学部(選択科目)です。

 

【国立大学】受験必須だが、合否判定には用いない大学も

国立大学の一般選抜では、「一次試験」として大学入学共通テストを受けることになります。
2025年度の国立大学入試では、原則どの大学を受験する場合でも、新設される「情報Ⅰ」を含めた6教科8科目の試験を受ける必要があります。

ほとんどの国立大学では、「情報Ⅰ」の成績も含めて合否判定が行われる予定です。
しかし、北海道大学では「『情報Ⅰ』の成績は、成績同点者の合否判定にのみ活用する予定」、徳島大学では「『情報Ⅰ』の成績は2027年度入試から合否判定に利用する」と発表しており、大学によって対応はさまざま。

また、各大学が課す個別試験の教科科目の発表をまだ行っていない大学も多くあります。各大学とも検討を慎重に行っているようなので、志望大学の入試情報はこまめにチェックしておくことが大切です。

 

【公立大学】学部系統や難易度によって出題有無が分かれそう

公立大学では、2025年度入試で情報科目を採用するかどうか、各大学の判断に委ねられています。
そのため、大学入学共通テストで「情報Ⅰ」が出題されるのは、理系・情報系の学部や、入試難易度の比較的高い大学が多くなるのではないかと思われます。
また、国立大学同様に、個別試験の教科・科目の発表をまだ行っていない大学もあります。

 

【私立大学】学部や入試方法で対応は分かれるが、選択科目にとどまる可能性が高い

私立大学でも、2025年度入試で情報科目を採用するかどうかは各大学に委ねられており、2023年3月までに大学から発表がある予定です。

現時点では、「大学入学共通テスト利用入試」や「大学入学共通テスト併用入試」で、「情報Ⅰ」を必須科目とする大学は限られ、多くの大学・学部では選択科目としたり、選択科目に加えなかったりすることが予想されます。

また、各大学の個別入試(一般入試など)でも、「情報」を受験科目の中の1つに取り入れる大学は限られ、受験が必須となるケースは非常に少ないと想定されます。

 

早いうちから志望校選びの情報収集を進めよう

このように、国立大学とそれ以外の大学によって、また同じ大学でも学部や入試方式によって、入試対策で「情報Ⅰ」が必要になるかが変わってきます。
必要な入試対策を行えるように、高校1・2年生のうちから大学のホームページやオープンキャンパスなどで大学の情報に触れ、志望校をある程度絞り込んでおくとよいでしょう。

志望校を決めるには、「オープンキャンパスの参加方法」の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

 

 

情報科目の模擬試験はいつから受けられる?

ところで、「情報Ⅰ」は、模擬試験ではいつ受けられるようになるのでしょう?
現時点で判明している情報は以下の通りです。(2022年12月時点・東京個別指導学院調べ)

進研模試
(ベネッセコーポレーション)

2024年2月実施予定の「大学入学共通テスト模試高2生2月」から、新学習指導要領の「情報」が出題開始。

全統模試(河合塾)

2024年1月下旬~2月上旬に実施予定の「全統共通テスト高2模試」から、新学習指導要領での出題になる(「情報」も出題予定)。

また、「情報Ⅰ」の入試対策・模試対策のための問題集は、2022年12月時点ではまだ発売されていません。
遅くとも2024年春ごろまでに、各社から出版されるものと思われます。

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まとめ:早めに新課程入試の備えをスタートしよう

この記事では、「情報Ⅰ」が2025年度の大学入試でどのように出題されるのかをお伝えしました。

大学入学共通テストでの出題イメージからも分かるように、「情報Ⅰ」では教科知識だけでなく「リテラシー」、そして数学(特に数学Ⅰ・A)の知識技能も大切になっています。

2025年度入試の情報はまだ出揃ったわけではなく、今後も新たな発表があったり、情報が更新されたりします。
公立大学や私立大学の共通テスト利用入試・一般選抜で「情報」が出題されるか、選択科目や必須科目になるかは、各大学から今後随時発表されていきます。

すでに志望校が決まっている方は、大学ホームページにある入試情報ページを定期的に確認して、最新情報をチェックしておきましょう。
もし、まだ志望校が決まっていないなら、仮にでも早めに志望校を決めておくことをおすすめします。志望校・志望大学を早めに決めておけると、入試対策の学習の優先順位をつけやすくなりますし、より具体的な入試情報も手に入れやすくなります。

志望校を決める、高校1・2年の学習を対策する、最新入試情報を入手する……など、早めにできるところから新課程入試の対策を始めていきましょう。

 

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