なぜ、大学受験は今まで以上に「早期対策」が必要なの?

まずは、これまで以上に大学受験の早期対策が必要な理由を確認しておきましょう。

  • 大学入学共通テストが変わる
  • 学校推薦型選抜・総合型選抜(AO入試)も視野に入れた対策が必要に

 

今、大学入試がどのように変わっているのかも含めて、詳しく見ていきます。

 

大学入学共通テストが変わる

2023年度時点で高校1・2年生の方が受ける大学入学共通テストは、2022年度から始まった新しい学習指導要領(新課程)に対応する形で、内容が大きく変わります。

変化が大きく、出題傾向や最新の情報を掴みづらい状況であるため、高校1・2年生の段階で大学受験に向けた土台を作っておき、なるべく余裕を持って、大学入学共通テストの対策を始めることが必要です。

では具体的に、大学入学共通テストはどのように変わるのでしょうか。主な変更点として、次の4つがあります。

大学入学共通テストの主な変更点4つ

 ①新教科「情報」が出題される

 ②「地理歴史」「公民」では出題科目が大きく再編される

 ③「数学Ⅱ」では「数学Ⅱ,数学B,数学C」の1科目となるほか、試験時間も延長

 ④国語では試験時間延長のほか、問題構成・配点が変更

①の「情報」は、高校の新課程で「情報Ⅰ」が必須となったため、大学入学共通テストでも出題されることになりました。国立大学では受験が必須となるため、国立大学を目指す場合は「情報」の勉強や対策が必要です。

②の「地理歴史」「公民」は、次のように出題科目が大きく変更されます。

比較 現行(~2024年度)の大学入学共通テスト 2025年度以降の大学入学共通テスト
試験科目 「世界史A」「世界史B」
「日本史A」「日本史B」
「地理A」「地理B」
「現代社会」「倫理」
「政治・経済」
「倫理、政治・経済」
「地理総合、地理探究」
「歴史総合、日本史探究」
「歴史総合、世界史探究」
「地理総合、歴史総合、公共」
「公共、倫理」
「公共、政治、経済」
試験時間 1科目選択:60分
2科目選択:130分
(解答時間は120分)

1科目選択:60分
2科目選択:130分
(解答時間は120分)

【参考】大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 出題教科・科目の出題方法等」

 

「地理・歴史」は、現行の「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」から、「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」と言う科目に変わります。

例えば、日本史を選択する場合、これまでの受験生は「日本史A(2単位)」もしくは「日本史B(4単位)」を選択できましたが、今後は「歴史総合(2単位)、日本史探究(3単位)」を受験することになります。つまり、習得が必要な単位数が4単位から5単位に増えると言うことです。

さらに、「歴史総合」は日本史と世界史の近現代史を扱うため、日本史を選択する場合でも世界史(近現代史)が出題範囲になるなど、今までよりも学習量が増えるようになります。

③の「数学Ⅱ」は、次のように試験科目と試験時間が変更となっています。

比較 現行(~2024年度)の大学入学共通テスト 2025年度以降の大学入学共通テスト
試験科目 「数学Ⅱ」「数学Ⅱ,数学B」
「簿記」
「数学Ⅱ,数学B,数学C」
試験時間

60分

70分

【参考】大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト 出題教科・科目の出題方法等」

 

例えば、これまでの「数学Ⅱ,数学B」では、「数学Ⅱ」は受験者全員が必ず答える問題の他、「確率分布と統計的な推測」「数列」「ベクトル」から、2つの項目を選択できました。

しかし、2025年度の大学入学共通テストより、「数学Ⅱ」は受験者全員が必ず答える問題に加えて、「統計的な推測」「数列」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」から、3つの項目を選択することになります。つまり、受験生が準備・対策しておかなければならない内容の範囲が広くなるのです。

④の国語は、試験時間が80分から90分に延長されたり、「国語総合」に代わって「現代の国語」「言語文化」の内容が出題されるなど、出題科目・範囲が増えたりしています。それだけでなく、2023年度までの大学入学共通テストでは出題されなかった「実用的な文章」が出題される予定です。

大学入試センターは、「知識・技能や思考力・判断力・表現力などを新たな場面でも発揮できるかを問うため、教科書などで扱われていない資料も扱う場合がある」と予告しています。また、大学入試センターが発表した新課程の大学入学共通テストの試作問題でも、これまで以上に思考力・判断力・表現力を問う問題が増えています。

これら4つの変更内容から、今後の大学入学共通テストでは出題の範囲が増えたり、問われる力が変わっていたりと、今まで以上に学習量が増えると分かります。

だからこそ、これからの大学受験に対応するには、高校1・2年生の早いうちから、大学入学共通テストに向けた対策を始めることが重要になるのです。

大学入学共通テストの変更点について、詳しくは高2生必見!2025年度新課程の大学入学共通テストの変更点&学習ポイントもご確認ください。

 

学校推薦型選抜・総合型選抜(AO入試)も視野に入れた対策が必要に

一般選抜の試験が大きく変わったことに対する不安や、より早く・確実に志望校に合格したいと言う思いから、学校推薦型選抜総合型選抜(AO入試)を利用する学生が増えてきています。

学校推薦型選抜・総合型選抜を利用すると、もし不合格になったとしても、その後の一般選抜でもう一度志望校を受験するチャンスが残っているのです。

どうしても行きたい志望校がある場合は、一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜・総合型選抜も視野に入れましょう。

学校型選抜・総合型選抜を視野に入れる場合、「高1・高2」の早い時期から対策を始める必要があります。なぜなら「学習成績の状況(評定平均値)」が影響する大学が多いからです。

全体の学習成績の状況(評定平均値)は、高校3年生だけでなく、高校1・2年生の成績も反映されます。そのため、志望校が設けている全体の学習成績の状況(評定平均値)の基準を達成するには、高校3年生からの対策では間に合いません。高校2年生から対策するよりも、高校1年生から対策する方が有利です。

高校1・2年生のうちから学校の授業に積極的に参加し、定期テストや小テスト、提出物などで、良い点数をとれるように対策することが大切になります。

定期テストで良い点数をとるための勉強方法は、「【保存版】高校生の中間・期末テスト対策~成績アップできる勉強の仕方とは?」で詳しくご紹介しています。

 

大学受験対策は「高1」からのスタートで差がつく!

大学受験は今まで以上に早期対策が必要になるとお伝えしてきましたが、具体的には「高校1年生」からのスタートで、偏差値に大きな差がつきます。

次のグラフから、「難関大学に合格するラインの学生」と「その他大学に合格するラインの学生」では、高校1年生の秋から徐々に偏差値の差が開いていくとわかります。

【参考:ベネッセ「高校生3分ニュース」【高1生向け】知ってた?高1・2学期は志望大合格への分かれ道!?】

 

このように、高1からのスタートで差がつきやすい大学受験。どのように対策していけば良いのでしょうか。

大学受験に向けて成績をアップするには、高校1・2年生のうちから、学習の「量」と「質」の両方を高めていくことが重要になります。

 

学習の「量」と「質」を高めることが重要な理由

ここからは、なぜ学習の「量」と「質」を高めることが重要なのかをお伝えしていきます。

次のグラフからもわかるように、全国の学生のデータと比較して、難関大学に合格するラインの学生は、平日に1時間30分以上勉強している割合が「約2倍以上」になっています。つまり、難関大学に合格するラインの学生は、学習量が多い傾向にあると言うことです。

【参考:スタディーサポート2020年度1年生第2回の全国集計結果】

 

このグラフから、難関大学に合格するには、高校1年生のうちから勉強時間をしっかり確保していくことが重要とわかります。

「1日1時間半勉強する」「毎日、問題集を必ず10ページ進める」と言うように、まずは「学習量」を確保して、日頃から勉強する習慣を身につけていきましょう。

ただし、勉強時間などの「学習量」を増やすだけでは、成績をアップできません。何を勉強してどんなことができるようになったのか……と言った、学習の質も高めていくことも
重要です。

はじめは、1日1時間半、もしくは1時間などでも良いので、次のような「成果」を出すことを意識して、まずは勉強に取り組んでみてください。

  1. 何を覚えて(インプットして)、必要なときに取り出せる(アウトプットできる)ようになったのか
  2. 自分の力で解ける問題が、どのくらい増えたのか
  3. 他の人にも説明できるようになった問題はどれくらいあるのか

最初から長時間勉強する目標を立てるのではなく、このような成果を1つでも得ることを重視して勉強をすると、成績のアップにつながりやすいです。

高校1・2年生から「学習量」を確保して勉強する習慣を身につけるのはもちろん、何を・どれだけ勉強して、何ができるようになったかと言った「学習の質」を高めることも意識していきましょう。

高1・高2の今から始めておきたい3つのこと

これまでお伝えした学習の量と質以外にも、大学受験に向けて「高1・高2」の今から始めておきたいことが主に3つあります。

  • 志望校・学部を決める
  • 受験科目を決める
  • 英語資格検定を取得する

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

 

志望校・学部を決める

遅くとも、高校3年生になる前に、志望校・学部を決めましょう。なぜなら、早いうちから具体的な目標を設定できることで、学習のモチベーションが上がり、合格に向けた対策を効率良く進められるからです。

志望校・学部を決めるには、複数の大学のオープンキャンパスに参加してみるのがおすすめです。

特に志望度の高い大学には、実際に足を運んで参加してみましょう。リアル開催のオープンキャンパスでは、通学するイメージや自分に合いそうな雰囲気か……など、ホームページやSNSを見るだけではわからないことをチェックできます。

また、最近はオンラインでオープンキャンパスを実施している大学も多いので、少し興味がある……と言った大学は、オンラインで参加してみたり、アーカイブ動画を見てみたりすると良いです。

限られた時間のなかで「リアル」と「オンライン」を上手く組み合わせながら、複数の大学のオープンキャンパスに参加し、自分に合う志望校・学部を探しましょう。

なお、総合型選抜や学校推薦型選抜をメインで考えている人は、高校1・2年生のうちから単に大学へ足を運ぶだけでなく、気になる大学の模擬講義や、学生・職員との相談会にも参加しましょう。模擬講義や相談会を通して得た内容や感じたことは、志望理由書に書く題材としても活用できます。

オープンキャンパスの成功談や失敗談、チェック項目などは、「オープンキャンパスこれで攻略!~志望校を決めるための参加の仕方~」もぜひ参考にしてみてください。

 

受験科目を決める

一般選抜での大学入試をメインに考えている人は、大学受験でどの科目を使うのか、高校2年生の春~秋のうちに決めておきましょう。なぜなら、遅くとも高校2年生の11月ごろまでには、高校3年生で履修する科目を最終決定する必要があるからです。

この「高3の科目選択」は、大学受験に大きな影響を与えます。

たとえば……

  • 国立大の場合、新しい大学入試(2025年度~)では、文系を選択する場合でも「数学Ⅱ,B,C」の学習がほぼ必要。

 

  • 私立大の場合、文系は「国語」「英語」に加えて「地理・歴史・公民」「数学」のなかから1科目、理系は「数学」「英語」「理科」など、3教科の受験対策が必要。

後から「選択した履修科目が、志望校・学部の受験科目に含まれていなかった……」とならないように、高校3年生で履修する科目選択は、慎重に決めなければいけません。

早い学校では、高校2年生の6月ごろから「高3で履修する科目選択の希望調査」がスタートします。履修科目の決定に向けて、高校2年生の春~秋のうちに、自分の行きたい大学・学部の候補で必要な受験科目をしっかり把握し、自分が使用する科目を決めておく必要があります。

志望校の受験に必要な科目は、気になる大学・学部のホームページや、大学受験のガイドブックなどを確認して、情報収集を進めていきましょう。

なお、2023年度の高校1~3年生の方は、学年によって必要な科目が変わっている大学もあるので、注意が必要です。

 

英語資格検定を取得する

英語資格検定は、まだ時間のある高校1・2年生のうちに取得しておきましょう。なぜなら、一般選抜かそれ以外か(学校推薦型選抜・総合型選抜〈AO入試〉)を問わず、この数年で英語外部検定利用試験(外検入試)のある大学が増えてきているからです。

外検入試は、英検®(実用英語技能検定)やTOEIC®、TOEFLiBT®、GTECなど「英語資格検定」の級・スコアが利用される入試方法です。

特定の級・スコアが出願書類の評価や合否判定で優遇される、受験当日に英語の試験が免除される……など、英語資格検定を持っておくと、大学受験で有利になることが多いです。うまく利用することで、英語以外の科目の勉強に時間を有効活用できるようになる可能性があります。

 

英語資格検定を取得する時期には注意が必要!

外部検定利用試験(外検入試)のある多くの大学は、出願時から2年以内に取得した資格のみを有効としています。そのため、高校1年生で取得した資格検定は、大学受験で使えない場合も……。

必ず、大学のホームページなどで、資格検定の有効期限について確認しましょう。

なお、英語資格検定は何回でも受験できます。大学受験では、級やスコアが高い方が有利になるので、なるべく早い時期から英語資格検定を受験して、高い級やスコアを取得していくことが重要です。

高校1年生のうちに英語資格検定を受験して試験慣れしておき、高校2年生でさらに上の級・スコアを目指していく……と言った計画を立てて、取り組んでいきましょう。

 

志望校・学部が決まっていないなら「英検®」の取得がおすすめ

英検(実用英語技能検定)やTOEIC®、TOEFL iBT®、GTECなど、外検入試で利用できる英語資格検定はさまざまですが、志望校・学部によってどの資格試験が利用されるかは変わってきます。

まだ志望校・学部が決まっていない場合は、外検入試で採用率の高い「英検®」の取得がおすすめです。

英検®は、2024年度実施分から、1~3級で英作文が増えるなど、問題形式がリニューアルされます。

英検®の取得に向けた対策スケジュールや、どの級・スコアを取得したら良いのか……などの対策方法については、【保存版】英検®対策は何から始める?早い対策で大学入試を有利に進めよう!で、詳しくご紹介しています。

東京個別・関西個別が、英語資格検定の対策をサポート

「英語資格・検定の取得に向けて、自分で学習計画を立てるのは難しい……」と思う方は、個別指導塾の利用がおすすめです。

東京個別指導学院・関西個別指導学院では、大学受験に必要な英語資格・検定試験のスコア取得に向けて、学習計画の作成や英作文の添削、スピーキングの指導などをサポートします。

また、生徒1人ひとりの学習状況や志望大学の入試方法に合わせて、最適な対策をご提案。計画的に英語資格・検定試験のスコアを取得して、大学入試を有利に進めたい場合は、ぜひ一度ご検討してみてください。

英語資格検定対策について詳しく見る

 

これからの大学入試は「思考プロセス」が大切に

ここまで、今まで以上に大学入試の早期対策が必要になる理由や、「高1・高2」の今から始めておきたいことをご紹介してきました。

最後に、これからの大学受験ではどのような力が必要になるのかをお伝えしていきます。

高校では、2022年度に学習指導要領が変わったことにより、「身につけた知識を活用して、どのように課題を解決していくか」が求められるようになりました。新しい大学入試(2025年度~)では、「思考力」「表現力」「判断力」を重視する問題が、さらに増える予定です。

思考力などを重視する問題は、単に知識を丸暗記する勉強方法や、一問一答形式問題の対策だけでは対応できません。新しい大学入試に対応するには、受動的ではなく能動的な姿勢を習慣づけて、思考プロセスを育てていく必要があります。

なお、思考力などを重視する問題は、一般選抜の試験に限ったことではありません。学校推薦型選抜や総合型選抜での面接・プレゼンテーション・口頭試問・集団討論などでも必要です。

 

受動的な姿勢と能動的な姿勢の違い

受動的な姿勢 能動的な姿勢
一問一答の丸暗記や、パターン演習が得意。 自ら問いを立て、考察するのが得意。
原因や背景、影響などに興味がある。
言われたことはきちんとこなす。

言われていないことも、調べたり考えたりする。

思考プロセスは、すぐに育つものではありません。日頃から家族・友人との会話で、「はい/いいえ」のような一方向のやり取りではなく、「なぜそう思ったのか」「自分がその立場だったらどう思うか」と言った双方向のやり取りを心がけていきましょう。

個別指導塾などを活用して、双方向のやり取りを習慣づけながら、思考プロセスを育てていくのも良いかもしれません。

東京個別指導学院・関西個別指導学院では、新しい大学入試の問題に対応できるように、思考プロセスを重視した双方向の対話型授業を行っています。大学受験に向けて「思考力」「表現力」「判断力」を身につけていきたい方は、ぜひ一度ご検討ください。

新課程対応の大学受験対策について

 

効率良く大学受験対策ができる「個別指導塾」の検討も

これまで以上に、早期対策が必要な大学受験。勉強面の対策だけでなく、志望校・学部選びや受験科目の決定、英語資格検定の取得……など、高1・高2のうちからしておきたいことはたくさんあります。

とは言え、「大学受験対策って何から始めたらいいの?」「学習計画の立て方や、対策の進め方がわからない……」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか?

大学受験対策に困ったときは、志望校・学部選びから学習計画の提案までサポートしてくれる「個別指導塾」を利用してみることも一つの手です。

東京個別指導学院・関西個別指導学院は、生徒1人ひとりの苦手分野やつまずきポイント、志望校合格に必要な学習内容を洗い出し、専用の学習カリキュラムをご提案しています。

学校の勉強と大学受験対策を別に行うのではなく、学校の勉強と大学受験対策を同時に行えるので、学校の評定アップと受験対策を最短距離で叶えることが可能です。

一般選抜対策をしながら、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策も行って、志望校合格のチャンスを増やしたい方は、ぜひ一度検討してみてください。

 

 

東京個別・関西個別の大学受験対策

新課程の大学入試に対応した学習プランを作成。1人ひとりに合わせた専用のカリキュラムを提案するので、苦手な部分やつまずきポイントに絞って、大学受験対策を効率良く進められます。

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